Yahoo!ニュース

東の魔王VS元祖西の王子! 4月16日、棋聖戦準決勝・渡辺明名人(36)-山崎隆之八段(40)戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 4月16日。東京・将棋会館において第92期ヒューリック杯棋聖戦準決勝・渡辺明名人(36歳)-山崎隆之八段(40歳)戦がおこなわれます。

 前棋聖の渡辺名人は斎藤慎太郎八段、出口若武五段を破って準決勝に進出しました。

 山崎八段は初戦で佐藤康光九段に勝利。次戦で豊島将之竜王と当たりました。

 結果は山崎八段の勝ちでした。

 山崎八段は重い相手を倒しても、なおまた重い相手が待っています。もちろん渡辺名人から見ても山崎八段は強敵。勝てば挑戦者決定戦進出という大一番で、「西の山崎、東の渡辺」と並び称された両雄がぶつかることとなりました。

 最近では斎藤八段が「西の王子」と呼ばれていますが、元祖・西の王子といえば山崎八段です。

山崎六段とは何かと比較されることがあるのですが山崎六段が「若様」「西の王子」などと呼ばれているのに対して自分は「魔太郎」「東の魔王」なんすかこの差は

「渡辺明ブログ」2005年3月19日

 過去の対戦成績は渡辺名人11勝、山崎八段4勝です。

 順位戦においては、山崎八段は長らく在籍したB級1組からの昇級を決め、今期からA級です。

 山崎八段は今期A級初戦で名人戦敗者(渡辺名人か斎藤八段)と当たります。

 こちらも「いきなり重いわ!」という印象でしょうか。

 山崎八段は過去に1度、2009年王座戦でタイトルに挑戦しています。その際には準決勝で渡辺明竜王(当時)を破っています。

 今期棋聖戦もう一方の準決勝、永瀬拓矢王座-中村太地七段戦は4月21日におこなわれます。

 ベスト4に残った4者(永瀬、中村、山崎、渡辺)はいずれも歴戦の強豪。誰が藤井聡太棋聖(18歳)への挑戦権を得てもおかしくはなく、またそれぞれに物語性があり、盛り上がることは間違いありません。

 中で山崎八段はただ一人、タイトル獲得経験がありません。悲願のA級昇級のあとにはもちろん、悲願のタイトル獲得を望むファンの声も多いでしょう。

 もし四十代で初のタイトル獲得となれば、木村一基王位(2019年、当時46歳)に続いて2例目となります。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

松本博文の最近の記事