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2020年度も勝ちまくる藤井聡太二冠(18)4年連続勝率8割以上&勝率1位なるか?

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 藤井聡太二冠(18歳)が今年度も勝ちまくっています。

 未放映のテレビ棋戦(銀河戦)をのぞいて、31勝8敗(勝率0.795)。ここからもし1勝が足されると、勝率8割復帰となります。

 いつの時代も、有望な若手棋士はよく勝ちます。その中でごくまれに、年間勝率8割台という、驚異的なハイアベレージが達成されることもあります。

 ただし、それを2回も達成できたのは、中原誠16世名人と羽生善治九段だけでした。言うまでもなく、両者ともに将棋史に残る大棋士です。

 藤井二冠はその記録に並びます。さらには3年連続8割台を達成しました。

 過去に年間8割台を3回達成できたのは羽生九段と藤井二冠だけ。3年連続ともなれば、藤井二冠だけです。

 藤井二冠がこれまで打ち立てた記録はすでに数多くあります。その中でも、この年間勝率の記録もまたすさまじいとしか言いようがありません。

 そして藤井二冠は史上初めて、4回目の年間勝率8割台を達成できるのか。もしこのまま勝ち続ければ、これから年度末(2021年3月)にかけて、その記録が大きく話題となることは間違いありません。

 また一方、羽生九段は4年連続勝率1位を記録しています。藤井九段が今期も勝率1位となれば、羽生九段の連続記録に並ぶことになります。

 ちなみに羽生九段は年間勝率1位をトータルで7回達成しています。これはもちろん、史上最多記録です。

藤井二冠のこれからの対局

 今年度、藤井二冠に残されている対局をチェックしていきましょう。

 まず直近では12月10日、銀河戦準決勝・木村一基九段戦が放映されます。

 もし決勝に進出すれば、三浦弘行九段-糸谷哲郎八段戦の勝者と優勝を争うことになります。

 B級2組順位戦は現在6戦まで終えています。

 残る4戦の相手は野月浩貴八段、中村修九段、窪田義行七段、中村太地七段です。

 最終戦の中村太地七段は2011年度、40勝7敗(勝率0.851)という史上2位の年間勝率記録を残しています。

 竜王戦はこれから2組ランキング戦が始まります。

 1回戦は阿久津主税八段戦。もし勝てば2回戦で広瀬章人八段との対戦となります。

 叡王戦は八段予選決勝まで進出。あと1勝で本戦(ベスト16)に進みます。

 朝日杯は前回ベスト4で、今回は本戦(ベスト16)からの出場となります。現在は二次予選が進行中で、出場者が出揃ったあと、本戦トーナメント表が発表されます。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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