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丸山忠久九段(49)挑戦決定か? 羽生善治九段(49)100期の望みつなぐか? 竜王戦挑決第2局開始

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 8月25日。東京・将棋会館において第33期竜王戦挑戦者決定戦三番勝負第2局▲丸山忠久九段(49歳)-△羽生善治九段(49歳)戦が始まりました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 羽生九段は1組優勝、丸山九段は2組2位で本戦に進み、挑決まで勝ち上がってきました。

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 三番勝負はこれまで第1局がおこなわれ、丸山九段が勝っています。

 第2局で丸山九段が勝てば2連勝で4回目の竜王挑戦が決定します。

 羽生九段が勝てば両者1勝1敗で、第3局へともつれこみます。羽生九段にはタイトル通算100期という大記録への期待もかけられています。

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 第1局が終わった時点で両者の過去の対戦成績は羽生九段38勝、丸山九段20勝となりました。

 羽生九段の2020年度成績は6勝5敗。

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 一方の丸山九段は8勝6敗です。

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 本局がおこなわれるのは東京・将棋会館4階の特別対局室。羽生九段が先に入室して、上座に座りました。かたわらには水などのペットボトルが2本と紙コップが1つ置かれています。

 羽生九段の前に置かれているのは扇子と腕時計。扇子は紙の輪の封(これを「責」[せめ]と言います)をしたままで開かないのが羽生流です。

 続いて9時56分頃、丸山九段登場。黒い大きなカバンの中からペットボトルのお茶3本、水3本などを取り出します。

 マスクの色は、羽生九段は黒に近いグレー。丸山九段は白です。両者ともに後ろ髪が少し跳ねているように見えます。

 定刻10時を少しすぎた頃、両者ともに駒を並べ終えます。

「それでは時間になっていますので、丸山九段の先手でお願いします」

 両対局者ともに一礼。

「お願いします」

 と、ひときわはっきり大きな声であいさつをするのが丸山流です。

 第1局と入れ替わって、本局では丸山九段が先手。まずは飛車先の歩を伸ばしました。

 対して2手目、羽生九段も飛車の前の歩を一つ進めました。

 丸山九段は3手目も飛車先の歩を伸ばしていきます。そこで羽生九段はスーツのジャケットを脱ぎ、両者ともに半袖シャツ姿となりました。

 進んで戦型は角換わりに進みました。丸山九段といえば、角換わりのスペシャリストとして知られています。

 羽生九段は19手目を指す前に、席を立ちます。その間、丸山九段は念入りに眼鏡を拭いていました。

 角換わりは攻めの銀の動きで主に腰掛銀、早繰り銀、棒銀に分類されます。本局では丸山九段は得意の早繰り銀に出ました。

 丸山九段の銀が手早く中段に出て速攻を仕掛けたのに対して、羽生九段は銀2枚を並べてしばらくは受けの姿勢です。

 丸山九段の銀はするすると中央に躍り出て、羽生陣の歩を1つかすめ取ることに成功しました。ただしその分、羽生九段は陣形整備に手をかけることができ、丸山陣の右辺は手薄くなっていて、バランスは保たれています。

 39手目、丸山九段が9筋の端を突いたところで、持ち時間5時間のうち、消費時間は丸山37分、羽生47分。第1局は丸山九段が序盤でほぼノータイムで飛ばし、時間に差がつきましたが、本局ではそうでもありません。

 羽生九段が40手目を指す前に12時、昼食休憩に入りました。

 竜王戦は昼食休憩、夕食休憩をはさんで、通例では夜に決着します。

 羽生九段、丸山九段、どちらが竜王挑戦者となっても、七番勝負が始まる時には50歳となっています。竜王戦史上最年長のタイトル挑戦であり、それだけも偉業というべきでしょう。

 昨日は木村一基九段が47歳で初の王将リーグ入りを決めています。こちらもまた快挙です。

 12時40分、対局が再開されました。羽生九段はすぐには次の手を指さず、前傾姿勢になって考えています。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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