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一昨日は東京、自宅は愛知、今日は大阪で東奔西走の藤井聡太七段(17)王座戦ベスト16を目指して対局中

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 6月10日10時。大阪・関西将棋会館において王座戦二次予選決勝▲藤井聡太七段(17歳)-△大橋貴洸六段(27歳)戦が始まりました。

 勝者は王座戦本戦(ベスト16)に進出します。

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 一昨日は棋聖戦五番勝負が開幕。東京・将棋会館でおこなわれた第1局で、史上最年少挑戦者である藤井七段は見事な勝利を挙げました。

 藤井七段は愛知県瀬戸市在住の高校3年生。平日に対局が続く中、6月にはほとんど高校に通えない生活が続いているのではないでしょうか。

 東京での対局から中1日をおいて、本日は大阪・関西将棋会館での対局に臨んでいます。

 藤井七段は今年度は5戦5勝。前年度からの引き続きでは、現在10連勝中です。

 一方の大橋六段は先日、折田翔吾新四段のデビュー戦で対戦相手となりました。結果は大橋六段の勝ちで7連勝。次戦の黒田尭之四段戦に敗れて連勝は止まりましたが、デビュー以来コンスタントに勝ち続け、ずっと高勝率をキープしています。

 大橋六段はハイレベルなファッションセンスの持ち主であることでも知られています。注目された今日の服装はベージュのスーツでした。

 振り駒の結果、先手は藤井七段と決まりました。棋聖戦第1局のような矢倉の可能性もあるかと思われましたが、今日の藤井七段は違う立ち上がりを選んでいます。

 対して大橋六段は横歩取りに誘導しました。消費時間の少なさから、事前に周到な準備をして臨んだことがうかがえます。

 藤井七段は横歩取りにおける先手番の有力な手法「青野流」を選びます。そして序盤から惜しみなく時間を使っていくのが藤井七段のスタイルです。

 23手目の段階で持ち時間5時間のうち、消費時間は藤井七段1時間41分。大橋六段はわずかに4分でした。

 昼食休憩後、局面は大きく動いていきます。中段で互いの飛角がせめぎあう形に。15時半の時点では35手目まで進み、手番の大橋六段が考えています。

 本日は名人戦第1局とこちらの対局、両方を見るのに忙しいという方も多いことでしょう。

 名人戦1日目は、夕方に封じ手をして指し掛けとなります。

 一方、王座戦の対局は、通例では夕食休憩の後、夜に決着がつきます。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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