藤井聡太七段(17)棋聖戦決勝トーナメントに初めて進出 史上最年少タイトル挑戦まであと4勝

(記事中の画像作成:筆者)

 1月28日。大阪・関西将棋会館において第91期ヒューリック杯棋聖戦二次予選決勝▲藤井聡太七段(17歳)-△澤田真吾六段(28歳)戦がおこなわれました。10時に始まった対局は17時21分に終局。結果は87手で藤井七段の勝ちとなりました。

 藤井七段は一次予選、二次予選で6連勝して、棋聖戦では初の決勝トーナメント進出。16人によるトーナメントで4連勝すれば、渡辺明棋聖(35歳)への挑戦権を獲得できます。

 棋聖戦五番勝負が開幕するのは例年6月のはじめ。もしその時に挑戦者として番勝負の舞台に立てば、屋敷伸之現九段の記録をわずかに抜いて、史上最年少でのタイトル挑戦者となります。

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藤井七段、中盤の長考合戦を制する

 朝、最初に対局室に入って、先に盤の前に座っていたのは藤井七段。少し遅れて登場した澤田六段はマスク姿でした。

 振り駒の結果、先手は藤井七段。戦形は角換わり腰掛銀で、手早く桂を跳ねて成り込んでいく、最前線の進行となりました。この形は先後、どちらでも指す藤井七段。直近の畠山鎮八段戦では、後手を持っていました。

 本局では藤井七段の新工夫から、前例を離れた戦いとなります。

 午前中は比較的早いペースで59手目まで進んで、昼食休憩に入りました。

 60手目。澤田六段は攻防の角を打ちました。昼食休憩の40分を間にはさんで、32分を使っています。棋聖戦二次予選の持ち時間は各3時間ですので、比較的時間を使ったと言えるでしょう。対して藤井七段は、澤田六段の角にどう対処するか、時間を使って考えることになりました。この後はさらに長考の応酬となります。

 61手目。藤井七段はちょうど1時間で飛車を寄り、金取りを受けつつ攻めに使える筋に移動しました。

 62手目、澤田六段は1時間19分考えて、金取りに歩を打ちます。

 63手目、藤井七段は54分で金を逃げる。

 この時点で両者の残り時間は藤井42分、澤田35分でした。

 依然、中盤の難解きわまる場面。澤田六段は残り4分となるまで考えて、飛車先の歩を突き捨てました。藤井七段がそれに応じた後の66手目。ここが本局の大きなポイントだったようです。

澤田「悪くないような気もしたんですけど、ただ具体的な手が・・・」

 いくら時間があってもどう指していいのか難しそうな局面。残り4分の澤田六段は藤井陣に△5七歩と打って垂らしました。急所にと金を作る手を見せて、筋のよさそうな、自然な攻め手に見えます。しかしそれがどうも敗着となってしまったようです。

澤田「△5七歩垂らした手順が微妙だったというか、ダメだったんですけど、しかしちょっとわからなかったですね」

 ここからの藤井七段の猛スパートぶりは、すさまじいものでした。

 まずは中空に桂を打って王手。これは銀で取ることができるのですが、取ると飛銀両取りの技がかかります。

 澤田六段は玉を横に逃げます。対して藤井七段は澤田玉の横に、そっと歩を打ちました。このやわらかそうに見える歩が、恐ろしく鋭い刃(やいば)となって、澤田玉の死命を制することになりました。

 歩はと金に昇格し、寄せの拠点となります。そして藤井七段は歩を成り捨てて王手をかけながら、澤田陣に打ち込んだ自分の角で、澤田六段の角を素抜きました。「次の一手問題」のような鮮やかなコンビネーション。これで一気に藤井七段勝勢となりました。

 中盤での長考の応酬から一転して、終盤は目にも止まらないほどに早さで、藤井七段の寄せが決まりました。

 87手目、藤井七段の着実な決め手を見て、澤田六段は投了しました。最後は藤井11分、澤田3分と、時間が残っていました。

 藤井七段はこれで初の決勝トーナメント進出を決めました。

藤井「前期は二次予選の決勝で負けてしまっているので、今期、進むことができてよかったなと思います。厳しい戦いが続くかなとは思いますが、一局一局を大事にやっていきたいなという風に思っています」

 多くの人が期待している最年少でのタイトル挑戦については、次のように答えています。

藤井「挑戦はまだまだ意識する段階ではないかなと思っていますけども、本戦で少しでも上に進めるようにがんばっていきたいと思っています」

 藤井七段の今期成績はこれで39勝10敗(勝率0.796)。あと1勝でちょうど8割となります。

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 藤井七段は1月31日、棋王戦予選で今泉健司四段と対戦します。