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将棋界最年長YouTuber石田和雄九段(72)の番組が面白い! 愛弟子の高見七段、佐々木七段も登場

松本博文将棋ライター
2018年、高見泰地叡王の祝賀会であいさつする石田九段(記事中の写真撮影:筆者)

 将棋界では棋士や女流棋士のYouTuberが増えてきました。

女流棋士・香川愛生チャンネル(香川愛生女流三段)

【プロ棋士】むらチャンネル(村中秀史六段)

イトシンTV(伊藤真吾五段)

 また最近ではアマチュア強豪・折田翔吾さんの棋士編入試験が大変な話題になっています。

アゲアゲ将棋実況(折田翔吾さん)

【参考記事】

あきれるほど将棋の強いYouTuberの折田翔吾さん(30)棋士編入試験五番勝負第1局でまず快勝

 さて、そうして盛り上がる将棋YouTube界に、満を持して大御所が登場しました。それが石田和雄九段です。

石田九段将棋チャネル(石田和雄九段)

 石田九段は10月にYouTubeのチャンネルを開設しました。現在は現在72歳。最年長YouTuberと言って間違いはないでしょう。

 石田九段は現役時には棋戦優勝4回、A級在籍4期などの実績を残し、筋のよい本格派として鳴らした名棋士です。

 石田九段が経営する柏将棋センターのウェブページでは「今週のつぶやき」が長く連載され、多くのアクセスを集めています。

 石田九段の解説の上手さ、面白さは随一です。NHKの将棋番組などで、その名調子が大変な人気を博し「解説名人」とも言われました。現在、AbemaTVで公開されている動画などでも、往時の解説を観ることができます。。

第36回 NHK杯将棋トーナメント 1回戦・第1局 福崎文吾七段 対 羽生善治四段(1986/4/6放送)

 石田九段のYouTubeの番組では、大山康晴15世名人、加藤一二三九段、中原誠16世名人、谷川浩司九段ら、超一流棋士との激闘が自戦解説されています。

 1984年度後期棋聖戦本戦トーナメント1回戦▲谷川浩司名人-△石田和雄八段戦(肩書はいずれも当時)の解説では、前叡王の高見泰地七段が聞き手を務めています。

 叡王戦がタイトル戦に昇格して2018年に高見叡王が誕生した際には、柏市で祝賀会がおこなわれました。

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 師匠が果たせなかったタイトル獲得の夢を、弟子が達成したということで、石田九段は感無量の面持ちでした。師匠の解説の面白さ、ファンサービスの手厚さなどを、弟子の高見七段は受け継いでいるようです。

 石田九段の門下は多士済々で、高見七段の他にも勝又清和六段、佐々木勇気七段、門倉啓太五段、渡辺大夢五段、加藤結李愛女流初段と、多くの弟子が活躍しています。

 11月27日には、佐々木勇気七段との対談がアップされました。

 詳しいことはもちろん、動画をご覧ください。

 佐々木現七段は将棋界において、早くから天才少年として知られていました。柏将棋センターには5歳の頃から通っています。

 さすがの天才少年も、強豪が集う道場において、最初はなかなか勝てませんでした。しかし石田九段の薫陶を受け、1学年上のライバル三枚堂達也少年(現七段)と競い合ううちに、強くなっていきました。

 石田九段はずっと佐々木少年の対局を見ていました。佐々木少年が悪手を指すと、石田九段はがっかりして表情に出てしまう。それが佐々木少年にはわかったそうです。

「小学校3年の時に(アマチュアの)五段になったんだよ、あなたは」

 石田九段はそう振り返っています。おそるべき早熟ぶりといえるでしょう。小4の時には小学生名人戦で優勝しています。

 四段に昇段して棋士となったのは、16歳の時。

石田「強いし、羽生さんみたいにしてやろうかと、こういう風に思うようになったわけよ。まだなってないけどね」

佐々木「すいません(苦笑)」

 というやり取りが対談中にあります。石田九段からすれば、佐々木七段の才能をもってすれば、もっと活躍してしかるべきだと思われるようです。佐々木七段の名は2017年、藤井聡太現七段の29連勝を止めた際に、将棋界という枠を超えて知られるようになりました。

 さてこちらは2018年4月、石田九段が著書『棋士という生き方』を刊行した際に、柏市でおこなわれたトークイベントの模様です。

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 こうした師弟のトークが、今やYouTubeで見られるとは、いい時代になりました。

 というわけで、石田九段のYouTubeのチャンネル。オールドファンから、最近将棋界を知ったという新しい「観る将棋ファン」の方まで、ぜひとも見ていただければと思います。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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