広瀬章人竜王(32)正確な終盤力で王将戦リーグ3勝目 羽生善治九段(49)を降す
11月1日。東京・将棋会館において王将戦リーグ▲広瀬章人竜王(2勝1敗)-△羽生善治九段(2勝1敗)戦がおこなわれました。10時に始まった対局は18時7分に終局。結果は107手で広瀬竜王の勝ちとなりました。
広瀬竜王はこれで3勝1敗。藤井聡太七段と並んで挑戦権争いのトップに立ちました。
敗れた羽生九段は2勝2敗。挑戦権を獲得するのは、かなり厳しい状況となりました。
広瀬竜王、1敗対決を制す
広瀬竜王は現在、竜王戦七番勝負で豊島将之名人の挑戦を受け、防衛戦を戦っています。
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豊島将之名人(29)31手詰を読み切って竜王戦七番勝負2連勝 広瀬章人竜王(32)を降す
竜王戦は現在、豊島名人の2連勝ですが、王将戦リーグでは広瀬竜王が勝っています。
広瀬竜王は29日の棋王戦では稲葉陽八段に勝ち、ベスト4に進出しました。トップ棋士として過密日程が続く中、王将戦でも挑戦権を狙える位置につけています。
一方の羽生九段は、昨年の竜王戦で広瀬現竜王にタイトルを明け渡して以来、無冠が続いています。棋王戦ではベスト8で佐々木大地五段に敗れて、今期の挑戦の可能性がなくなりました。
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大器・佐々木大地五段(24)棋王戦ベスト4進出 羽生善治九段(49)を降す
王将戦リーグでは両者ともに2勝1敗。本局の勝者は3勝1敗となって、現在暫定トップの藤井聡太七段に並ぶことになります。
広瀬竜王が先手で、戦形は角換わり腰掛銀となりました。広瀬竜王は桂を跳ね出してすぐに捨て、取った歩で攻めをつなげます。前例があり、また両者ともに研究が十分であろうことから速いペースで進みました。午前の段階で、羽生玉は中段の四段目に露出するところまで進みました。
昼休の後、羽生九段が前例のない手を指して、未知の局面に入ります。序中盤は研究で飛ばし、終盤で時間を使うのは、現代的な進行でもあります。
終盤戦。羽生九段は飛車を取り合う攻め合いを選択しました。そして広瀬竜王の玉を、部分的には受けが難しい状況に追い込みました。
手番を得た広瀬竜王は、羽生玉に王手をかけ続けます。羽生玉に詰みはありません。しかし羽生九段の玉を王手龍取りがかかる位置にまで追って、きれいに技を決めました。
時間に余裕を残した最終盤。勝勢の広瀬竜王は30分を使って勝ちを読み切ります。最後まで正確な終盤力を見せ、大敵を降しました。
これで3勝1敗となった広瀬竜王は、藤井七段と並びました。
広瀬竜王は11月4日、藤井七段は11月14日に久保利明九段と対戦します。そして11月19日の最終一斉対局において、広瀬竜王と藤井七段は直接ぶつかることになります。
羽生九段は2勝2敗。順位も最下位の5位のため、挑戦権争いはかなり厳しい状況に追いこまれました。残る2局は三浦弘行九段と糸谷哲郎八段との対戦となります。