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王座戦五番勝負第1局始まる 戦形は角換わり早繰り銀

松本博文将棋ライター
(記事中の写真撮影・画像作成:筆者)

【前記事】

斎藤慎太郎王座(26)に永瀬拓矢叡王(26)が挑む王座戦五番勝負開幕 9月2日に第1局

https://news.yahoo.co.jp/byline/matsumotohirofumi/20190901-00140824/

 第1局がおこなわれるのは、数々の名局の舞台となった「元湯 陣屋」(神奈川県秦野市鶴巻温泉)です。

 現在は豊島将之王位(29歳)に木村一基九段(46歳)が挑む王位戦七番勝負が佳境を迎えていて、次の第6局の対局場も陣屋です。現在3勝の豊島王位が初防衛なるか。それとも木村九段が勝ってカド番をしのぎ、最終第7局にもつれこむか、というところです。

 王座戦第1局、対局開始に先立つ振り駒では、「と」が3枚出て、挑戦者の永瀬叡王の先手と決まりました。

 9時、対局開始。戦形は角換わりとなりました。永瀬叡王、斎藤王座ともに、手早く銀を繰り出す「早繰り銀」の戦法です。

王座を2期以上獲得した棋士は2人だけ

 王座戦は1953年度に創設され、1983年度からタイトル戦となりました。

 昭和の時代に圧倒的な戦績を誇ったのは中原誠名誉王座(16世名人)です。タイトル戦昇格前に10回優勝し、昇格後は6期王座を保持しています。

2007年王座戦第1局、中原誠名誉王座が立会人を務める
2007年王座戦第1局、中原誠名誉王座が立会人を務める

 平成に入ってからは羽生善治九段(名誉王座資格者)の独壇場となりました。1992年度から19連覇し、通算24期という、空前にして、おそらくは絶後の記録を誇っています。

2007年王座戦第1局にて、羽生善治王座
2007年王座戦第1局にて、羽生善治王座

 名誉王座の資格を得るための条件は連続5期、または通算10期です。この難条件をクリアしたのは中原、羽生の2人しかいません。

 そしてなんと、2期以上王座のタイトルを保持した棋士もまた、実はこの2人しかいないのです。

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 今期、もし斎藤王座が初防衛を果たせば、王座2期で、歴代単独3位となります。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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