【W杯まで1年1カ月】

 ヨーロッパ遠征中のなでしこジャパンは、24日にセルビア、27日にフィンランドと対戦する。

 チーム活動は今年3回目。W杯アジア予選を兼ねた1月のアジアカップと、4月の国内キャンプ以来だ。対外試合の機会が限られる中、来夏のW杯に向けてチーム作りを進める貴重な機会となる。

 チームは21日にセルビア入りし、トレーニングを開始した。陽射しは強く、日中は30度を超す蒸し暑さだという。

 ヨーロッパの国々ではマスクの着用義務が解除されるなど、感染対策の緩和が進んでいる。

 一方、日本の日常は変わらない。選手たちは医療マスクをつけて移動し、ホテルでの感染対策も徹底されているという。

 ただ、バブル方式の国際試合や国内リーグの厳しい感染対策を経験している選手が多く、「生活の中での感染対策はいい意味で、日常通りの感じで慣れています」(池田太監督)という。

 昨年11月のオランダ遠征では、アイスランド(0-2)とオランダ(△0-0)に1分1敗だった。アジアカップは、準決勝で中国に敗れて3位。攻守に組織的でアグレッシブなサッカーを目指している池田ジャパンだが、欧州勢相手にも目に見える結果が欲しいところだ。

 4月の合宿は国内組を中心に26名が参加し、その約半数が新戦力というフレッシュなメンバーで、コンセプトの共有や選手層の底上げを図った。

 一方、今回は海外組も含め、23名中20名がアジアカップのメンバー。現段階では、W杯のメンバー23枠に最も近い選手たちと言える。

 ただし、足首の手術をしてリハビリ中のFW岩渕真奈は、完治すれば復帰が確実。また、U-20女子代表は池田監督をはじめとするなでしこジャパンのスタッフが兼任しており、8月のU-20W杯終了後に有力選手が引き上げられる可能性がある。来年に向けて、サバイバルは激化しそうだ。

 アジアカップのメンバー以外で招集されたのは、MF杉田妃和(ポートランド・ソーンズ/アメリカ)とMF三浦成美(ベレーザ)、FW千葉玲海菜(千葉)の3名。杉田は今年の2月にNWSL(米女子プロリーグ)のポートランドに移籍してから、ここまで全9試合に出場し、2ゴール1アシストと活躍中。アメリカでスケールアップしたプレーでチームに勢いをもたらすことができるか。

杉田妃和
杉田妃和写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ボランチの三浦は、杉田と共に東京五輪の主力として活躍。今季はケガでベレーザの戦列を離れた時期もあったが、着実にコンディションを上げている。

 一方、代表出場歴ゼロの新戦力としてチャンスを掴んだのが千葉だ。

「彼女のWEリーグでのプレーを見て、4月のキャンプを一緒に時間を過ごす中で、グループに入った時に何ができるかを見てみたいと思いました」(池田監督)

 3月にWEリーグにデビューして、10試合で6ゴールと得点力が炸裂。スピードを生かしたダイナミックなプレーで、身体能力の高い欧州勢にも臆することなくチャレンジして欲しい。

【ダイナミックなセルビア、成熟度の高いフィンランド】

 今回の対戦相手であるセルビアはFIFAランク36位、フィンランドは同29位。13位の日本は格上の立場だが、まったく侮れる相手ではない。

 W杯ヨーロッパ予選で、セルビアはドイツ(5位)に次ぐグループ2位。フィンランドはスウェーデン(2位)に次ぐ2位で、いずれも強豪国の後にぴたりとつけている。

「W杯予選を戦ってある程度完成されているチームと戦うことで、チーム力の現状把握や、個人の力を試したい。W杯に向けたメンバー選考に向けても、個人(能力)の把握ができたらと考えています」(池田監督)

 セルビアは、直近の国際試合で7連勝中。W杯予選では、ホームでドイツに3-2で勝つなど、自信もつけている(アウェーは5-1で敗戦)。

ドイツに勝利して喜ぶセルビア女子代表
ドイツに勝利して喜ぶセルビア女子代表写真:ロイター/アフロ

「セルビアは切り替えがすごく早いので、その切り替えの早さで負けないこと。相手が前から来た時にどのスペースが空いているかを考えながらプレーしたいです」

 DF三宅史織(神戸)は、そう警戒感を強める。なるべく高い位置で奪い、時間をかけ過ぎずにフィニッシュまで持ち込みたい。

 若くて身体能力が高い選手が多いが、中でもバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)に所属する27歳のFWヨバナ・ダムンヤノビッチ(背番号9)は、直近の6試合で8ゴール。ドイツ戦でも2得点を挙げている要警戒のエースだ。バイエルンのチームメートで、守備の大黒柱でもあるDF熊谷紗希とのマッチアップに注目したい。

 2戦目で対戦するフィンランドは、欧州女子選手権が来月に迫っており、成熟度の高いチーム。イングランド、アメリカなどの強豪リーグでプレーしている選手もいる。また、ここまでフランス(●0-5)やオランダ(●0-3)、スウェーデン(●1-2)など、強豪国とタフなゲームを重ねてきている。

 女子W杯は、2023年大会から出場国が24カ国から32カ国に拡大された。それに伴って、ヨーロッパの出場枠も11枠+大陸間プレーオフ枠(1)へと拡大。W杯で、なでしこジャパンが近年苦手としてきたヨーロッパ勢と当たることは避けられない。その壁を破るためにも、アウェーで戦う今回の2試合は、内容の伴った勝利を掴みたい。

 前回のオランダ遠征は無得点だっただけに、複数得点にも期待している。

【年内のスケジュールが決定】

 なでしこジャパンは、7月末には日本で行われるE-1選手権に臨む。インターナショナルマッチデーに開催される大会ではないため、日本サッカー協会に海外選手の拘束力がなく、国内組中心で臨むことが濃厚だ。

 その後、9月に予定されていたアジア競技大会は延期となり、10月には国内で2試合の国際親善試合が行われる。10月6日にノエビアスタジアム神戸(兵庫)でナイジェリア(39位)戦、10月9日に長野Uスタジアムでニュージーランド(22位)戦が決定した。

 来年以降はFIFAランク上位国とのマッチメイクも期待される。それまでにチームの土台をしっかりと安定させ、年内の試合は“全勝”を目指したい。

 セルビア女子代表戦は、日本時間 6月25日(土)2:45キックオフ。

 フィンランド女子代表戦は、日本時間 6月28日(火)0:15キックオフ。 セルビア戦はBSフジで生中継される(フィンランド戦は2:32〜録画放送)。

アジアカップの敗戦を力に変えたい
アジアカップの敗戦を力に変えたい写真:ロイター/アフロ