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なでしこジャパンが強豪カナダと対戦。W杯の悔しさをバネに、東京五輪へ最高のリスタートを(2)

松原渓スポーツジャーナリスト
カナダ代表は多彩なタレントを擁する強豪だ(筆者撮影)

 なでしこジャパン(日本女子代表)は10月6日(日)、静岡市のIAIスタジアム日本平でFIFAランク7位の強豪、カナダ女子代表と国際親善試合を行う。

 カナダ戦に向けて、W杯に参加したメンバー17名、初招集3名を含む25名の選手が招集され、試合に向けて静岡のJ-STEPで9月30日から合宿が行われた。

参照記事:なでしこジャパンが強豪カナダと対戦。W杯の悔しさをバネに、東京五輪へ最高のリスタートを

 以下、試合に向けた監督・選手コメント。 

(写真はすべて筆者撮影)

監督・選手コメント

高倉監督
高倉監督

高倉麻子監督(前日公式会見)

東京五輪に向けてカナダという素晴らしいチームと対戦できるので、内容、結果ともにいいものにしたいです。カナダはベテランと若手がうまく融合したチームですし、前線には象徴ともいえる(クリスティン・)シンクレアという選手がいます。若い時から素晴らしい選手だと思っていましたが、年齢が上がってきた中でもトップレベルでプレーできていて、非常に尊敬する選手です。私たちは若い選手が多いので、学ぶことも多いと思います。東京五輪に向かってとにかく階段を上がっている途中だと感じているので、試合に勝つことで大きく一歩前進したいです。

ーー五輪に向けての選手同士のサバイバルでもありますが、個々についてはどういったところをチェックしていきますか。

多くの候補の中から素晴らしい選手たちを選んでいるので、自分のいいところをとにかく出して欲しい、表現して欲しいと強調しています。インターナショナルマッチで通じる強度や、スピード、シンキングスピード、世界のトップレベルで通用する技術、予測する力、フィジカル的な能力を見ながら評価をしていきたいと思います。

ーーフランスに行った選手と行けなかった選手、この一週間を見てどちらのグループのパワーが優っていると感じましたか?

フランスの地であのような負け方をした選手たちの悔しさは、あまり表には出しませんけれども、体の中に染み込んでいると思います。明るい雰囲気の中でもう一回立ち上がってやるんだという雰囲気を強く感じますし、選ばれなかった選手も自分がやってやるんだ、という強い気持ちを感じます。どちらもポジティブなものだと思いますし、このチームは下がる要素がなく、上がっていくだけだと思うので、私自身も楽しみです。今いる選手たちをいかにグラウンドで輝かせることができるかを私も全力で考えながら、攻守ともに戦術的なことを突き詰めていきたいと考えています。

中島依美
中島依美

MF 中島依美(INAC神戸レオネッサ)

ーー今回は最年長の代になりました。

若い選手ばかりで衝撃です(笑)。ただ、ここに選ばれたからには、チーム(INAC)を代表している立場もありますし、責任感もあります。これまでと変わらず積極的にプレーしていきたいという気持ちがあります。

ーーカナダ戦ではどのようなテーマで臨んでいますか?

W杯では足りなかったことが多かったです。通用したこともありましたが、結果はベスト16敗退だったので。もっともっと積み上げていかなければいけないことがあるので、今回、ランキング上位の強い相手と対戦できますし、チャレンジできることはすごく楽しみです。個人的にはこれまでと変わらず、運動量を生かしながらゴールに絡むプレーを積極的にやっていきたいですし、あとはパスの質と判断力を上げることにもっとこだわってプレーしていきたいと思っています。

ーー強豪相手にも、右サイドからカットインして左足で打ったシュートは高確率で枠を捉えているイメージがあります。

そうですね。ただ、実際に決まっていないので。そこを決めきれるようにやれたらいいなと思いますし、ゴール前でのずる賢さも発揮したいですね。

松原有沙
松原有沙

MF 松原有沙(ノジマステラ神奈川相模原)

ーーW杯前はトレーニングパートナーとして悔しい思いもあったと思いますが、今回の活動にはどのような思いで臨んでいますか?

W杯の間はケガもあったのですが、しっかり自分と向き合うことができました。リーグであまりいい成績が残せていない中で、評価して呼んでもらえたことは素直に嬉しいですし、来年の五輪に向けてしっかり気持ちを切り替えています。五輪は(W杯の23名から18名に)人数が減るので、食い込んでいきたいですね。

ーー最近のリーグ戦ではドリブルからアシストするシーンもありました。プレーの幅が広がったと感じる部分もありますか。

自分のプレースタイルは基本的に簡単にはたいたり、(ロングボールを)飛ばすプレーが多いのですが、中盤で持ち運んだり、ドリブルで仕掛けて相手を引きつけてから展開した方がいい時もあります。そういうことも考えてプレーするようにしています。もっと余裕を持って周りを見られるように、ボールを受ける時の体の向きを課題にしています。

ーーカナダ戦で試したいことを教えてください。

フィジカルを生かせるプレーや空中戦は、国内リーグでは自信になっているので、海外の選手でも負けない自信を持っていきたいです。中盤で出てもセンターバックで出ても、自分の仕事、役割をしっかり果たせるようにしたいですね。

栗島朱里
栗島朱里

MF 栗島朱里(浦和レッズレディース)

ーー代表初選出おめでとうございます。今回の合宿にどのような思いで臨んでいますか。

これまで通りの自分を出していこうと思って臨んでいます。現時点(合宿3日目)では緊張で硬くなっている部分があるので、体も頭も柔らかくして柔軟に、しっかりとついて行きたいです。結果も残さないとここには残れないと思うので。

ーーリーグでは首位のレッズの中盤で存在感を発揮していますが、プレー中、自分が一番調子が良いと感じるのはどのような時ですか?

セカンドボールがすごく拾えたり、ルーズボールになった時に相手よりも早く触れる時ですね。そのために切り替えの速さは意識しています。仲間が奪われそうだなと思った瞬間にはもう、次のことを考えないと間に合わない。予測が自分の良さなので、前面に出していきたいです。自分がグイグイいって周りに合わせてもらう、というタイプではないので。自分の良さを出しながら、みんなとうまく合うようにしたいですね。

ーーカナダ戦ではどのようなアピールをしたいですか。

今、自分が持っている力以上のものは出せないので、持っている力を100パーセント出すこと。積み重ねたものをしっかり出していければアピールになると思います。

菅澤優衣香(左)
菅澤優衣香(左)

FW 菅澤優衣香(浦和レッズレディース)

ーー今回のカナダ戦はチームとして「決めきる」ということが、大きなテーマになっていると思います。カナダ戦に向けてはどうですか?

個人としても、前回のW杯でその課題が大きく出ました。チームでしっかり積み上げてきたことがあるので、それを今回の試合でしっかり出せるようにしたいと思っています。またなでしこを見にいきたいと思ってもらえるようなサッカーをするためにも得点にこだわりたいです。

ーー今回は浦和から6人の選手が選ばれましたね。

同じチームの選手が何人も選ばれるのはすごく嬉しいことだし、代表で活躍する人が増えればチームも活性化されると思うので、そういった意味でもすごく嬉しいですね。

ーーカナダには去年の3月のアルガルベで0-2で負けました。印象はいかがですか?

パワーとスピードがあるチームで、やりづらい相手という印象があります。でも、昨年から様々な国と戦って経験を重ねて培ったものもあるので、またチャレンジしたいです。カナダのような相手には前半は無失点に抑えることが大切だと思うし、その中で自分たちフォワード陣がしっかり点を取りたいと思います。

清家貴子
清家貴子

DF 清家貴子(浦和レッズレディース)

ーー代表初選出ですが、練習に入ってどのようなことを感じていますか。紅白戦ではサイドバックと、前線でもプレーしていましたね。

周りのレベルが高いなと毎日感じますが、その中で自分の良さをどんどん出していかなきゃと思っています。今の時点(3日目)で、可能性が高いのはサイドバックかな、と予想しています。

ーー浦和では昨年までFWで、今季サイドバックにコンバートされて定着しましたが、代表での最終ラインのプレーはどうですか?

守備のリスク管理への意識が、代表では強く求められています。得点に絡むプレーがしたいのでさじ加減は難しいところですが、戦術理解を深めながら、1対1で負けないことや前への推進力を出していきたいですね。ディフェンスラインでほころびを出さないように意識しています。

ーー清家選手は攻撃的な選手ですが、守備でボールを奪うシーンが結構ありますよね。

その感覚は、自分の中に意外とありましたね。サイドの1対1では、国内ではそんなにやられている感じはしないのですが、それが世界のレベルだったらどうなるかはまだわからないので、チャレンジしたいです。

宮澤ひなた
宮澤ひなた

MF 宮澤ひなた(日テレ・ベレーザ)

ーー今回の合宿で、個人としてはどんなチャレンジをしたいですか?

W杯に行けなかった悔しい思いもそうですし、その期間チームでやってきたことも自分にとってはすごく大きなものになったので、自分が持っているものをしっかり出したいですね。W杯で戦ってきた選手もベクトルをオリンピックに合わせていると思います。カナダ相手にも仕掛けてシュート、仕掛けてアシストといった、ゴールに直結するようなプレーがしたいです。

ーー今回は男子高校生や大学生との合同トレーニングもしましたが、どうでしたか。

3対3とか、ポジショニング一つで裏を取られるシーンもあったので、そこは課題ですね。チームの戦術の中で穴を作らないようにしたいです。こうやって男子と速いスピードの中でできるのは、普段は実感できないことなので楽しいです。相手が速ければ判断も速くしなければいけないので、その中で一つひとつ積み重ねていけたらなと思います。

ーーチームで取り組んできたことが、今回の代表活動で生きていると感じる部分はありますか。

(ベレーザでは)外にポジションを取ることが多いので、(代表では)中に絞るタイミングなどが変わる部分もありますが、後ろの選手と目を合わせながら動き出すことを続けてきました。スピードに自信があるので、GKがキャッチした後のスタートダッシュや、カウンターの時は前への意識を常に持っています。

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のなでしこリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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