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GW3連戦がスタート。日テレ・ベレーザとAC長野パルセイロ・レディースの因縁の対決の行方は?(2)

松原渓スポーツジャーナリスト
首位ベレーザ相手に堅守を見せた長野(C)松原渓

なでしこリーグは、ゴールデンウィーク期間中の3連戦がスタートした。

4/29日(土)、開幕から4連勝中で首位の日テレ・ベレーザ(以下:ベレーザ)は、ホームに5位のAC長野パルセイロ・レディース(以下:長野)を迎えた。  

結果は1-1のドローで終了。

ベレーザの連勝は4でストップ。一方、長野は連敗を免れ、貴重な勝ち点1を獲得した。

GW3連戦がスタート。日テレ・ベレーザとAC長野パルセイロ・レディースの因縁の対決の行方(1)

以下、試合後の監督・選手コメント。

【監督・選手コメント】

森栄次監督(ベレーザ)

ーー試合を振り返って、いかがですか?

最初に失点して追うような形になってしまったので、どうしても焦りが出てしまいました。もう少し先制点が早い時間帯に欲しかったですね。前回のレッズ戦もそうなのですが、なかなかボールが走らないんです。雨の後や、夜は(夜露で)ボールが滑るのですが、今日のような乾いた時間帯だと、滑りにくい。我々はいつも夜にトレーニングをしているから、どうしてもその(ピッチコンディションの)イメージでサッカーをやってしまうんです。乾いている場合は、もっとドリブルを入れることも必要ですね。

ーー失点の原因をどのように捉えていらっしゃいますか?

いつもはもう少しサイドもうまく使えるのですが、ダイレクトパスもうまく使えていなかったですし、それがカウンターを食らった原因だと思います。

ーー植木選手がチームにもたらす良さをどのように活かしたいと考えていますか?

(植木は)今はまだポゼッションがうまい方ではないのですが、脚力を活かして裏を狙えるので、ポゼッションの中で一つのパーツとして考えて、起用しています。ディフェンスラインが消耗している時間帯に彼女のようなプレーヤーが入ると、相手も嫌だと思います。

ーー相手の対策も進む中で、守りを固められた時にどのようなことが大切だと思いますか?

まずは、先に失点しないことが大切ですね。その中で、どこまで試合を有利に進められるか、というところです。勝負どころは、(植木)理子が出た場面でも良いし、もちろん、その前に点が入れば問題ないですし。ボールを回しながら、相手が前から(奪いに出て)くる中で裏を狙う形もあります。

DF 中里優(ベレーザ)

ーー試合を振り返って、いかがですか?

最初の失点が、自分たちにとって今日の反省点です。あの失点がなければ、前半はもっと落ち着いて進められたと思います。前半はボールを回しているだけになってしまっていました。その中でも決められるチャンスはあったので、決めきれなかったことが課題だと感じています。

ーーピッチコンディションのやりづらさもありましたか?

そうですね。ベレーザのサッカースタイルだとパススピードが重要になるので、やりづらさはありましたけれど、その分、個人がドリブルなどをもっと活かしていけたらなと思いました。

ーー今シーズンは左サイドバックでプレーしていますが、手応えはいかがですか?

まだまだ(ダメ)ですね。森監督にはビルドアップの部分も求められていると思いますが、守備面も難しくて、毎回上手くいかないことがあるので、もっともっと練習しなければいけないと思っています。

FW 植木理子(ベレーザ)

ーー今日はハーフタイムから入りましたが、どのようなことを意識してプレーしましたか?

負けていたので、自分の特長を活かす面でも得点に絡むことが必要ですし、今日は長い時間(45分間)をもらったので、結果を求めてやろうと思って入りました。 いつもは裏のスペースで起点になることを考えていますが、今日に関しては、自分のところで仕掛けて相手を剥(は)がすことが一番だと思っていたので、たくさんボールを受けて、自分でチャンスを作ることを心がけていました。

ーー2試合連続ゴールですが、率直な気持ちを教えてください。

(今シーズンの)なでしこリーグが始まって、全試合出してもらっているのですが、最初の方は点が獲れなくて焦りもありました。得点に結びついてきたことは自信になりますが、今日に関しては、自分が勝ちを決めるゴールを決められたと思うので、もっと頑張らなきゃな、と思います。

ーーU-17女子ワールドカップで世界と戦った感覚と、国内リーグでの得点の感覚は違いますか?

海外の選手はスピードがあるので、一つ外せたらチャンスになりますが、日本の選手は細かい動きに対応して粘り強くついてくるので、なでしこリーグで点を獲る難しさも感じます。

ーー今後の目標を教えてください。

チームの目標は3冠を獲ることなので、それを達成するために自分ができることを一生懸命やりたいです。チームに必要とされる選手になるために、少しずつですが、もっともっと強くなりたいと思います。

FW 籾木結花(ベレーザ)

ーーピッチコンディションはいかがでしたか?

いつも練習しているグラウンドと違うから、自分たちのサッカーができないというのは悔しいです。試合の中ですぐに慣れることは難しいのですが、そこを乗り越えないといけないと思います。普段からパススピードを常に意識することや、スリッピーなグラウンドでもパスを強く出すことを意識して取り組みたいと思います。

ーー攻撃面はいかがでしたか?

前半は、ゴール前にただ人(選手)がいるだけになってしまっていました。FWが裏に動き出しても(相手の)ディフェンスラインが下がるのが早く、ボールは回せていても、シュートまでいけませんでした。そういう場面で、間が空いたところをもっと使えれば、もっとテンポよくパスを回せたと思います。間にボールが入っても、ワンタッチで前を向けなくて状況を変えられなかったことは課題です。

ーーご自身のプレーはいかがでしたか?

もっと相手と相手の間でボールを受けてリズムを作りたかったですね。後半に(植木)理子が入って(自分が)右に入ってからは、点を獲りに行く中で(清水)梨紗とのコンビネーションで簡単にクロスを上げたり、もっとシュートを打ちたかったです。

本田美登里監督(長野)

ーー試合を振り返っていかがですか?

このような(押される)内容になることは想定していました。ポゼッション率は低かったですが、今シーズンはブロックを作って守っている中で、よく耐えました、という感じです(笑)。守り疲れもありましたが、守り慣れた部分もあったと思います。

ーー先制点が早かったことで、その後の試合展開にどのような影響がありましたか?

有利な状態で試合に入れたことで、勇気を持って前に出ることができました。前半0-0とかだと、あと5mぐらい後ろに下がった状態から守備をしなければいけなかったかな、と。 ただ、1-0で逃げ切れるとも思っていなかったので、守り切るつもりもありませんでした。2-0までいけば逃げ切れると思いましたが。

ーー攻撃面に関してはいかがですか?

押し込まれる中で、守備はできましたが、ボールを持った時のロストが多かったです。國澤がボールを持った時に足下で(ボールを)もらう選手や、サイドバックも顔を出すことができるようになれば、ブロックを作った守備から、縦に速いサッカーと厚みのあるサッカーをやっていけると思います。

ーー守備面の進化については手応えはいかがですか?

去年まで作ってきたものがあるので、本当はもっと前から(プレッシャーをかけに)行きたいんですよね。けれど、それを我慢させている分、得点も減っていて、後ろ髪を引かれながらやっている部分があるので。もう少し、得点に絡む時間帯を増やしたいです。(センターバックの)坂本は安定してきています。最後の最後で、坂本のところでボールを引っ掛けて(奪って)くれますし、去年に比べて背後の守備を意識しているので、今、(なでしこジャパンの)高倉監督にオススメしたい選手の一人です。

ーーゴールデンウィークの3連戦の初戦で、引き分けたことについてはいかがですか?

前向きに考えたいですけれど、負けなくて良かったなと。選手たちも、今シーズンやろうとしていることにちょっとずつ手応えを感じている部分があって、それが前回(のジェフ戦で)は出せなかったのですが、今回、ベレーザ相手にできた部分がありました。

ーーINAC戦に向けてはどのような3日間を過ごしたいと思いますか?

目先の試合でいっぱいいっぱいなので、これから考えます(笑)。1週間ごとのサイクルにしてもらえると、もう少し心の準備ができて、INAC戦に臨めるかなと思うのですが。 中3日なので、弱っちいチームにはしんどいです(笑)。

MF 齊藤あかね(長野)

ーーゴールの場面を振り返っていかがですか?

相手が迷うと思って、DFとDFの間をわざと狙って走りました。相手が自分に食いついたら(横山)久美がいけるし、迷うと思ったので。久美がボールを持った時、並走することはいつも意識しています。去年、(ベレーザとの試合で)久美が3人抜きをしてゴールを決めた時も、サイドで走ってサポートできていました。

今回は久美から良いパスをもらえたので、シュートの場面は、ファーストタッチをしっかり置ければシュートまでスムーズにいけると思いました。

ーートラップからシュートまでの一連の動作はイメージ通りでしたか?

そうですね。あのタイミングで打たなかったら打てないと思っていました。トラップミスみたいになってしまったのですが、体勢を崩しながらギリギリ入りました。コースよりもタイミングを重視して、タイミングよく打てれば入るかな、と。

ーーボランチとしてどのようなことを意識しましたか?

絶対に、中を空けないようにしようと思いながらプレーしていました。戻させて、返させる分には、自分たちは疲れるのですが、最終的に一番嫌なところにボールが入らないので、しっかり中を閉めるように意識して、苦しい展開になっても我慢しようと話していました。

ベレーザの選手は中盤の選手の入れ替わりが激しくて、マークの受け渡しが難しかったのですが、やっている間に全員がそれに慣れてきて、最終的に(シュートを)打たせないというところで、球際には行けていたと思います。ただ、守備に徹しすぎて、前に出て行けない時間帯が多く、ボールを奪った瞬間に、ボールをつける(渡せる)場所が少なかったことが、これからの課題です。

GK 望月ありさ(長野)

ーー試合を振り返っていかがですか?

支配率はベレーザの方が高かったのですが、早い段階で仲間がゴールを決めてくれたので、先制点で気持ちが楽になりましたし、しっかりゼロ(無失点)でいこうという気持ちになれました。先制点がポイントでしたね。

ーー古巣相手に、どのような心境で臨みましたか?

(ベレーザは)10年ぐらいいたチームだったので思い入れがありますし、絶対に、自分の力で勝ちたいと思っていました。結局1-1の引き分けになってしまって、大事なところで役目を果たせなかった悔しさはあります。ただ、首位の素晴らしいチームに1-1という結果を残せたことは良かったです。

ーー望月選手のコーチングも武器になっているのではないでしょうか?

逆に、コーチングは自分の課題です。失点する場面では、個人のミスというよりは、相手に崩されて決められてしまう失点が多く、自分のコーチングや予測が足りないと思っています。声は出していても、それが役に立っているかどうか、大事な場面で声を出せているかが大切です。もっと長野のサッカーを勉強して、戦術的なことも含めて後ろから言えたら失点も減ると思います。

ーー試合に出続ける中で見えてきたものや、培われた感覚はありますか?

試合勘は戻ってきました。ただ、勝ったり、負けたりという試合が続いているので、大事な試合を落としたくないです。何よりも結果にはこだわりたいと思っています。自分が出ている以上は、一戦一戦、勝ち続けなければいけないと思います。

ーーセットプレーで気をつけていたことはありますか?

ベレーザのセットプレーの怖さも良く分かっているのですが、(阪口)夢穂さんのところは絶対に狙ってくると思っていました。夢穂さんは、強いシュートよりも必ずコースを狙ってくるので、止めた場面も最後まで(飛び出さずに)待てました。夢穂さんの特長を分かっていたから、予測できた部分もあります。

ーーポジション争いの中で、自分のストロングポイントをどのように考えていますか?

自分は高さがあるのでハイボールは強みですし、シュートストップやクロスへの対応も得意な部分なので、もっと伸ばしてアピールポイントにしたいと思っています。

MF 國澤志乃(長野)

ーー試合を振り返っていかがですか?

守備の時間が長かった中で、ボールを奪ったあとのミスが多く、自分たちの時間を作れませんでした。ボールを受けたあとのファーストタッチを良くすることと、サポートがない中でもいかにボールを奪われずに中盤で展開できるかということが課題です。

ーー齊藤(あかね)選手とのボランチのコンビネーションで、役割分担はできていますか?

あかねとは去年も一緒に(中盤で組んで)やっていたので、できています。2列目から走ってくる相手の選手に対しては、センターバックから「OK」の声がかかったら流していいけれど、それ以外はしっかりボランチでついていこうと意識していました。ボールを持たれる時間は長かったのですが、真ん中から仕掛けられることが多くなかったので、ある程度スペースを与えてもやられなかったのは良かったです。

ーー失点については、どのようなことを修正していきたいですか?

昨年はサイドからの失点が多かったので、今シーズンはサイドでまずクロスを上げさせない守備をしていこうと話しています。でも、その形で失点してしまいました。他にも、阪口選手に終盤にヘディングを打たれた場面もクロスからだったので、まずはサイドでクロスを上げさせないことと、上げられても中の選手がしっかり体をぶつけて、フリーでシュートを打たせないようにすることが課題です。

DF 坂本理保(長野)

ーー1点に抑えたことについていかがですか?

抑えていたというよりは、良いボールを入れさせなかったことが大きかったと思います。ボールが入る前の段階で抑えられていたと思います。全員が体を張って守ってくれていました。

この試合で一番、印象に残っているのが、後半の終盤に全員が目の前のボールに体を投げ出して、2〜3回シュートブロックが続いた場面です。その時、自分はゴールのカバーでニアサイドをケアしていたので、シュートを打たれたら体を投げ出そうとしていたのですが、その前で止めてくれて、チームメートを頼もしく思いました。

ーー予測で奪うところと、体を当てて行くところの使い分けが効いていると思いますが、いかがですか?

予測でボールを奪えたら良いのですが、そこは相手のボールの持ち方やタイミングで使い分けています。予測だけでは逆を取られるリスクもありますし、相手もうまい選手が多く、自分が前で獲ろうとした時に裏を狙われることもあるので。

ーー次はINAC戦ですね。

ベレーザとはサッカーが全く違うので、もう一回、ゼロから切り替えて全員でやっていきたいと思います。

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のなでしこリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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