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2部の首位争いは「痛み分け」。2部昇格1年目のオルカ鴨川FCの強さの理由とは?(2)

松原渓スポーツジャーナリスト
2部の首位争いは、0-0のドローで試合を終えた(C)松原渓

なでしこリーグ2部第4節。

開幕3連勝で首位を走る日体大FIELDS横浜(以下:日体大)が、同じく開幕3連勝の2位のオルカ鴨川FC(以下:オルカ)をホームに迎えた上位対決は、0-0のスコアレスドローに終わった。

2部の首位争いは「痛み分け」。2部昇格1年目のオルカ鴨川FCの強さの理由とは?(1)

以下、試合後の選手、監督コメント。

【監督・選手コメント】

矢野晴之介監督(日体大)

ーー試合を振り返って、感想をお願いします。

前線からプレッシャーをかけてくる相手が今シーズン対戦したチームの中で初めてだったのですが、(日体大は)ちょっとプレッシャーを受けただけですぐに(パスの)精度が落ちてしまったり、サポートの質が変わってしまう部分が課題ですね。点が獲れていないのにボールを大事にしすぎていたので、もっとシンプルにゴール前に(ロングボールを)上げても良いのではないかな、とも思いました。

ーー今後、突き詰めていきたいポイントは何ですか?

攻撃では、中盤の運動量が、横に対してのサポートはあるのですが、前に対してのサポートをもう少し速くしたいですね。守備はセンターバックの羽座と大賀は安定していますが、守備のところで(ボールを)奪いきれないところがあったので、そういうところも攻撃に影響すると思っています。

ーー終盤、「もっと元気にいこう!」と、ピッチの脇から声をかけていらっしゃいました。

チームに元気がなかったのは、「勝たなければいけない」というプレッシャーがあったからだと思います。引き分けでも、負けた感じがあります。

ーー首位を走ることのプレッシャーもあるのでしょうか?

そうですね。ただ、そういうものを感じたり、背負いながらも勝ち続ける強さがないとダメですね。

DF 大賀理紗子(日体大)

ーー試合を振り返って、いかがですか?

去年のなでしこリーグでは失点数が多くて、開始10分などの失点が多かったので、今日は引き分けでしたけれど、無失点で終われたことはチームとして良かったと思います。守備面については積み上げた手応えがありますね。ただ、守備がバタつく時間帯に、良い攻撃ができなくなってしまいます。今年は90分間の中で守備を安定してできるようにすることで、攻撃がうまくいくようにしていきたいです。

ーー攻撃面はいかがですか?

新しい選手も入って、連携の部分はまだまだなところがありますが、まずは守備の基盤をしっかりして、攻撃は単調にならないように、いろいろなバリエーションを持てるようにならなければいけないなと思います。

ーーロングフィードが効いていましたが、攻撃面はどのようなプレーで絡んでいきたいですか?

常に攻撃には絡みたいと思っているので、1本でも良いパスを出せればいいな、と毎試合、思いながらプレーしています。

ーー最後に、今シーズンの目標を教えてください。

まずはチームが勝って1部に上がることが一番ですけれど、自分もその勝利に関わって、今後は得点も取れたらいいですね。

GK 井上ねね(日体大)

ーー今日の試合を振り返って、ご自身のプレーはいかがでしたか?

全然(ダメ)でしたね。フィールド(プレーヤー)の一員になりきれていなかったですし、組み立ての部分では味方を困らせるパスもあったので、もっと落ち着いて、11人目のフィールドプレーヤーとしてうまくビルドアップできたら良かったです。

ーー今シーズン、ここまで4試合で無失点ですが、その点では手応えはいかがですか?

去年は、得点した後とか、終盤にも失点してしまうことがあったので、チームとして声を掛け合って乗り切れていることは良いことです。

ーー高い身体能力を持っていますが、今後、上のカテゴリーで戦っていく上でどのように成長していきたいですか?

この身長(176cm)を活かすプレーを、もっと自分の強みにしていきたいのですが、(相手の)クロスへの対応なども、まだまだ納得のいくレベルではないので、他の選手に負けないようにレベルアップしていきたいですね。

ーー個人としての今シーズンの目標はありますか?

まずは、1部昇格が目標ですし、それに対して、(GKとして)無失点で貢献することが今の目標ですね。

北本綾子監督(オルカ)

ーー今日の試合を振り返って、どのような感想をお持ちですか?

これまでの試合で取り組んで来た守備が常に集中してできていましたし、その点では一歩、前進できました。(日体大は)自由にさせたら質の高い攻撃をしてくる相手でしたし、特に中盤の伊藤選手と嶋田選手に自由にプレーされれば、いくらでも良いボールが(ゴール前)に入って来るので、2人にパスが渡らないように制限することを心がけました。「相手に制限をかけるためには、これぐらいやらなければ行けないんだ」という最低ラインを作って、今日の試合を機にスタイルを磨いていきたいと思います。

ーー試合の中で、主導権を握った時間帯もありました。

それは、この試合で狙っていたことです。相手の狙いどころを研究していたので、そこを突くために、状況に応じて戦い方を変えることにトライしました。たとえば、相手の背後が空いたタイミングで、相手を裏返すようなボールを配給して(相手の)ラインを下げる。ただ、それだけだと単調になってしまうので、相手が下がったところで、ピッチをワイドに使った攻撃で相手を広げる、という戦い方を引き出したかったのですが、それができなかったのは課題ですね。(ピッチに立っている)全員が状況を判断して、進めていけないと厳しいと思います。

ーー日体大の伊藤香菜子選手とは現役時代にプレーしたライバルでもありますが、何か言葉を交わしましたか?

試合前に会った時には、駆け引きをしましたね。香菜子ちゃんが「私は今日、左サイドバックをやるよ」と言って来て(笑)。そんなわけないでしょう!と言いました。

彼女は、スーパープレーヤーです。(選手としての)自分にないものをたくさん持っていて、私と同じ、34(歳)の年ですけれど、あれだけの運動量で、グラウンドのあちこちでチームをサポートして、嫌なところにポジションを取る。相手にすると本当に嫌な選手なので、その怖さを消すために対策を練りました。

ーー(選手兼監督として2年間チームを率いた後、現役を引退されて)監督業に集中されるようになって2年目のシーズンを迎えていらっしゃいますが、チームにどのような手応えを得ていますか?

選手がみんな頑張り屋なので、技術はまだまだですけれど、なんとか(1部に)行かせてあげたいな、という気持ちがあります。ただ、コーチも、トレーナーも、ドクターも、みんな自分がとても信頼しているスタッフなので、それぞれの得意なところで選手に対してアプローチしたいと思っています。私だけでは力が足りないので、総力で選手を良い方向に持っていきたいですね。

ーースタッフに元選手が多いのも強みでしょうか。

そうですね。(選手の)気持ちが十分に分かりますし、それを選手たちも分かると思うので。ただ、それだけでは監督(業)やコーチ(業)はやっていられないので、まだまだ勉強が必要です。今日は、自分たちに足りないものがあったから引き分けました。勝ち続けられるチームになりたいですね。

DF 中村真実(オルカ)

ーー試合を振り返って、いかがですか?

強い相手だったので、とにかくディフェンスラインは失点しないように我慢をして、(攻撃で)1点取れればベストでしたけれども。修正するところはたくさんありますけれど、失点はしなかったので、良かったな、という気はしています。

ーー2部での戦いで、どのような手応えを感じていますか?

通用している部分もあるので、そういうところはもっと精度を良くしていきたいです。ここまでの試合を振り返ると、結果としては無失点に抑えても(内容では)やられているシーンが多いので、その数を減らしていきたいですね。

ーー「ゲームを読む力」については、チームとして成長している手応えはありますか?

そうですね。若い選手も多いので、試合を重ねるうちに少しずつそういう部分も向上して来ていると思います。監督はどう思っているか分からないですが(笑)。

ーー日体大の荒川恵理子選手とのマッチアップは白熱していましたね。

そうですね。やはり、体が大きかったですし、強くて上手かったです。やられてしまった場面も多かったので、次回対戦する時はやられないようにしたいです。

ーー今後の試合に向けての意気込みをお願いします。

今年から2部で戦う中で、チャレンジャー精神を持ちつつ、一つひとつしっかり勝ちを積み重ねて結果を出したいと思います。

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のなでしこリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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