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まもなくキックオフ。コスタリカ女子代表との一戦で、なでしこジャパンは進化を見せられるのか。(2)

松原渓スポーツジャーナリスト
チームの一体感を高めて試合に臨む(C)松原渓

4月9日(日曜日)、熊本県民総合運動公園陸上競技場で行われるキリンチャレンジカップで、なでしこジャパンはコスタリカ女子代表と対戦する。試合は19時キックオフ。

まもなくキックオフ。コスタリカ女子代表との一戦で、なでしこジャパンは進化を見せられるのか。(1)

以下、試合前の選手、監督コメント。

【監督・選手コメント】

高倉麻子監督(試合前日会見)

ーーコスタリカ戦で、チームに期待することを教えてください。

アルガルベカップが終わってから、時間を置かずに今回の合宿に入って、コスタリカという、(アルガルベカップで対戦した4ヶ国とは)タイプが違うチームと戦えることを嬉しく思います。

我々は、全員が攻守にわたって90分間ハードワークすることが前提です。(ボールを)奪った時には複数の選手がゴールに向かって絡みながら、どこからでも、誰でも点が獲れるサッカーを目指しています。選手自身がグラウンドでキラキラ輝いてプレーしてくれることに期待しています。

ーーコスタリカチームは、どのような印象ですか?

コスタリカは15年のカナダワールドカップで初めて世界に出てきましたけれども、「新しく力をつけてきているチーム」という印象があります。何試合か(映像を)見ましたけれども、球際や、ちょっとしたプレーに力強さを感じました。

ーー両サイドバックの本職の選手がいない中で、どのようなプランを考えていらっしゃいますか?

サイドバックは継続して探しているのですが、なかなか納得する選手を見つけることができず、チームでは中盤をやっている選手や、前の方のポジションをやっている選手の抜擢を考えています。私自身の考えでは、ポジションの適性はありますけれども、サッカーはサッカーですし、ポジションに関係なく、すべては状況判断だと捉えています。選手にはいろんなポジションができることを要求していますし、そのことによってプレーの幅が広がったり、相手が読めない場合もあります。

ーー今後、このチームをどのような集団にしていきたいと考えていらっしゃいますか?

アルガルベカップに出場したことで、それぞれの選手がこのチームでの居場所を見つけたように感じます。今回のキャンプでは、歳上、中堅、若手と分け隔てなく会話をしているのを目にしますし、そういう雰囲気を(歳)上の選手が作っていて、逆に、若い選手はまったく物怖じせずに、(歳)上の選手にサッカーの話をしているのを目にして、ようやくチームらしくなってきたなと感じています。戦術的なことやフォーメーションを含めて規律は作りますけれども、選手が自立して、グラウンドの中で決断していく力をつけて、それを試合の中で発揮してほしいです。代表や、サッカーへの強い想いを持ち、国を代表して戦うということを常に心に留めて戦う集団になってほしいです。

山下杏也加
山下杏也加

GK 山下杏也加(7日練習後)

ーーアルガルベカップ以前と比べて、練習メニューにどのような変化がありますか?

チームで合わせる練習が多くなりましたね。アルガルベカップではパスミスも多かったので、そういうことを意識したメニューが多くなっているように感じます。

ーーチームとして、今回の合宿はどのようなテーマで取り組んでいるのでしょうか?

守備面では、どこでスイッチを入れてボールを獲るのかということと、前線から高い位置でボールを奪って得点に結びつけるような形にも取り組んでいます。

ーー守備の際に、コーチングをする時には、どのような指示を意識していますか?

スイッチが1人だけ入っても、2人目が入らないと簡単に剥がされてしまうリスクがあるので、リスク管理をしながら、ディフェンスの背後の対応などのコーチングを心がけています。

ーーコスタリカ戦は、どのような試合にしたいですか?

試合に出られたら、まずは勝って、熊本の人たちを元気にさせてあげられたらと思います。

高木ひかり
高木ひかり

DF 高木ひかり(7日練習後)

ーーサイドバックのポジションでプレーする機会が増えていますが、手ごたえはいかがですか?

本職のサイドバックの選手よりも、守備的になってしまうのは課題です。サイドバックをやるからには、攻撃にも参加しないとチームの流れを作り出せないので。以前、アリさん(有吉佐織)が右サイドバックで、自分がセンターバックでプレーした時に、アリさんは攻撃だけではなく守備でもバランスを取ってくれて、ボールの受け方だけでリズムを作れていたので、そういうプレーを自分もできたらいいなとイメージしながらプレーしています。

ーー(所属する)ノジマでは今シーズン、ボランチでプレーしていますが、どのポジションでも必ずやろうと決めていることはありますか?

ボールを受ける時には、次の展開を考えながら(トラップをして)ボールを置くようにしています。それによって次のプレーの選択肢が増えるからです。

ーー(昨年は2部でプレーしていましたが)今年、1部でプレーをしている中で、自信がついた部分はありますか?

自信がついたというわけではないのですが、積極的に自分から発信したり、気持ちを表に出すことで得られるものが多いと感じるようになりました。

ーーそういうふうに考えられるようになったのはいつ頃からですか?

1月の(代表の)国内合宿で感じたのは、たとえば軽い練習でも、うまい選手は積極的にやっているということです。たとえば、(長谷川)唯ちゃんや籾ちゃん(籾木結花)は年下ですが、実力もあるし、それ以上に自分から良さを発信していました。負けていられないし、ついていかなければいけないと思いましたね。

ーーコスタリカ戦で、サイドバックで出るとしたら、どのようなプレーをしたいですか?

サイドハーフをうまく使って守備をすることと、攻撃にもうまく関わっていきたいです。攻撃につながるような、流れの起点になれればいいなと思っています。

宇津木瑠美
宇津木瑠美

MF 宇津木瑠美(7日練習後)

ーーご自身のコンディションはいかがですか?

アメリカはまだシーズンが始まっていない状態で、コンディションやゲーム感覚では(なでしこジャパンの)みんなとの差もあるのかなと思いますが、トレーニングの中で、紅白戦や実戦的なトレーニングをしているので、(その差を)埋められていると思います。

ーー復興チャリティマッチとして位置付けられた試合ですが、どのような試合にしたいですか?

国内で行われる(今のなでしこジャパンの)最初の試合という意味で、選手たちがしっかり自覚して臨まなければいけないと思います。なでしこは一人欠けたらダメになってしまう部分もあって、今回も京川(舞)が離脱してしまいましたけれど、(同じように)どこかの県がそうなってしまった時に、日本国民全員が力を合わせられるような、刺激になれるチームでありたいです。そういう意味で、今回の復興チャレンジマッチは今まで以上に、1人の人間として重く受け止めながら臨みたいです。

(試合前日)

ーー相手の10番の(シルレイ・クルス)選手の印象はいかがですか?

フランスリーグでよく対戦していました。彼女はフランスリーグでも上位を争う上手な選手だと思っているので、対戦がすごく楽しみですし、日本で対戦できるのも嬉しいことです。日本が良いチームだということと、日本が良い国だということも知ってほしいです。

横山久美
横山久美

FW 横山久美(試合前日)

ーーコンディションはいかがですか?

あまり意識していないです。コンディションを良く持っていくのは自分自身ですし、悪い時でも、良いと思うようにしています。

ーー現在のなでしこジャパンで、ご自身の立ち位置をどのように捉えていますか?

一気に中堅(の年齢)になってしまったので、焦りも感じています。2年前ぐらいになでしこジャパンに入った時は一番歳下だったのですが、だいぶ入れ替わって、今まで先輩たちが築き上げてきたものを知っている選手が少なくなってきたので、少しでも分かっている自分が伝えていかなければいけないと思っています。

ーーここまでのなでしこジャパンの活動を振り返って、今回の試合をどう捉えていますか?

(これまでは)あまり良い結果が出ていないのですが、自分たちがやるしかないですし、その試合を見て、女の子たちが「なでしこジャパンに入りたい」と思ってくれるように、泥臭く、ひたむきにやるしかないです。全力でやることで、熊本の皆さんに勇気を与えたいです。

ーー対戦するコスタリカにはどのようなイメージがありますか?

ヨーロッパのチームとも違って、「ガタイが良い」というイメージがあります。映像ではアメリカの選手にも当たり負けしていなかったので、日本はうまく技術でかわしたり、緩急を使っていきたいです。

佐々木繭
佐々木繭

MF 佐々木繭(試合前日)

ーーコスタリカ戦では、どのようなプレーをしたいですか?

身体を最後まで張るとか、最後まで諦めずに走る気持ちを表現して、それが熊本の皆さんに伝わればいいなと思います。去年よりも前線に良いボールを配給できるようになったと思うので、もっと得点に絡むプレーや、自分自身も得点に絡むプレーを目指しています。

ーーサイドバックでプレーする時に、以前よりも良くなった面はありますか?

周りの選手の特徴も分かってきたので、うまく合わせていけるようになってきたかな、と思います。どの選手とでも、うまくコンビネーションを発揮したいです。

ーーリーグでは(所属する)仙台Lが開幕2連勝と好調ですが、所属チームで意識していることが代表に活きている部分はありますか?

川村(優理)さんが移籍して、自分がやらなければいけない立場になったので、練習ではいつもより前の方を走ることを意識していますし、試合でもここぞという場面で身体を張ってチームを引き締めたいと思っています。そういうところを代表でも発揮していきたいですね。

長谷川唯
長谷川唯

MF 長谷川唯(試合前日)

ーー積極的に歳上の選手にも話しかけていますが、コミュニケーションを取る上で、どのようなことを意識していますか?

自分の思っていたことや考えていることを伝えることは、毎回の練習で心がけています。考えを伝えないとうまくいかないことが多いので、うまくいかなかったプレーごとに、お互いがどうだったかということを話し合うようにしています。

ーー昨年までU-20の同僚だったメンバーが新たに3人(隅田、上野、市瀬)増えましたが、どのように感じていますか?

(A代表では)年代はあまり関係ないと考えていますが、自分たちの代は、上下関係やグループで固まることがなかったので、それはなでしこジャパンでも活きていると思います。

ーー国内リーグが開幕した中で、アルガルベカップの時と比べてコンディションはいかがですか?

今シーズンに入ってから良い調子を維持できています。周りからは調子が良いと言われますが、それが自分の中で普通の感覚になっているのは良いことだと思います。

ーーコスタリカ代表の映像を見て、試合ではどのようなプレーをイメージしていますか?

相手の逆を取るプレーが得意なので、動き出しを良くして、相手が食いついてくるところで裏を取ったり、サイドバックの選手とコミュニケーションを取りながら、一発で裏を取るプレーも狙っていきたいです。

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のなでしこリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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