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催涙スプレーを護身用に携帯 罪に問われるか、使ったらどうなる? #専門家のまとめ

前田恒彦元特捜部主任検事
(提供:イメージマート)

阪急塚口駅に停車中の電車内で催涙スプレーを噴射したとして、会社員の男が暴行罪で逮捕された。女性客5人が喉の痛みなどを訴えている。男が護身用に携帯していたもので、別の男性客と体が接触して口論となり、吹きかけたという。催涙スプレーを購入すること自体は問題ないが、携帯したり使用したりすると罪に問われる場合もあるので、注意を要する。

▼軽犯罪法の凶器携帯罪が成立するか否かは「正当な理由」の有無がポイント

▼百貨店のトイレで先に個室に入られた腹いせに高齢女性に噴射した女は傷害罪で懲役1年6か月、執行猶予3年の有罪判決

▼日比谷線の電車内で悪ノリで噴射し、車両を停車させ、駅員らに点検業務を行わせた男2人は威力業務妨害罪で逮捕

深夜に路上で突然襲われ、身の危険が生じたときに催涙スプレーで撃退したような場合には、正当防衛が認められるだろう。一方で、強盗などの凶器として悪用される事件も相次いでいる。護身用に車内に隠し持っていた暴力団組員が軽犯罪法違反で現行犯逮捕された例もある。条例で販売時の規制を検討している自治体もあるが、今のところ身分証明書の提出を義務付けるといった業界団体の自主ルールに委ねられている状況だ。(了)

元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

元特捜部主任検事の被疑者ノート

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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