ノート(232) 容疑を否認している事件における動機の認定とその重要性
~続・工場編(25)
受刑340/384日目
動機の重要性
年度終わりの3月31日であるこの日は土曜であり、刑務作業や屋外での運動、入浴がなかったことから、居室で丸1日すごした。しとしと降り続く雨音を聞きながら、前日の夕刊やこの日の朝刊に目を通すと、大阪地裁で言い渡された大坪さんと佐賀さんに対する有罪判決の概要が報じられていた。
こうした全面否認事件の場合、単に有罪・無罪という結論やその理由付けだけでなく、裁判所がどのような動機を認定したのかという点も重要となる。本人が何も語っていない以上、様々な証拠から導かれる事実を積み上げて「推認」するほかなく、有罪の結論に至るだけの自然かつ合理的で説得力のある動機と言えなければならないからだ。
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