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ノート(231) 元特捜部長らの犯人隠避事件に対する判決の内容と率直な思い

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:アフロ)

~続・工場編(24)

受刑338/384日目

ソフトボール始まる

 その後の2週間は、1日100冊程度のペースで差入れ本を整理したり、新たに図書工として配役された受刑者に作業の流れを指導してすごした。

 新人だけにチェックが甘く、本の間に挟まれた手書きのメモや爪楊枝などを見落とすといったミスを連発していたが、僕よりも年齢が上だったため、プライドを傷つけてトラブルに発展しないように、言葉遣いには細心の注意を払った。

 年度末の3月ということで、拘置所から刑務所に移送される受刑者が多いからか、検査のために図書計算工場に持ち込まれる携入本も増加の一途をたどっており、チェック未了の在庫が溜まりに溜まっている状態となっていた。

 計算工も同じく年度末は忙しいようで、このころの図書計算工場は休憩時間中でも作業を続ける図書工や計算工の姿が目についた。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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