ノート(156) 刑務所における生活の心得である「15の戒め」とは
~確定編(7)
受刑20/384日目(続)
禁じられた遊び
久しぶりに大きな浴槽でゆっくりと足を伸ばし、長距離移動の疲れをとり、独房に戻ったころには、早くも夕食前の点検の時間となった。点検の流れは大阪拘置所と同じだった。
すなわち、「点検用意」という刑務官の号令がかかると、受刑者は居室の真ん中あたりで監視窓に向かって正座や安座して待つ。2人の刑務官が「1号室」「2号室」などと言いながら順番に居室内を確認していくので、受刑者は「○○番」などと自らの称呼番号を元気よく答えるというわけだ。
この日の夕食のメニューは、三分割されている丸型の食器に盛り付けられた卵とソーセージのフライ、キャベツの千切り、油揚げとこんにゃくの煮物のほか、きのこ汁、ふた付きのご飯茶わんに盛られた米麦飯だった。昼食もそうだったが、やはり大阪拘置所よりも格段にうまいものだった。
しかも、大阪では配食の段階でおかず類に調味料がかけられていたが、静岡では小袋入りのソースやドレッシングが別に添えられており、各自の好みでかける量を調整できるようになっていた。
こうした緩い生活が続くと、罪を償っていることを忘れてしまいがちになる。そこで、刑務所では夕食後に内省の時間が設けられている。10分間、1人静かに座って過ちを振り返り、日々の行動を見つめ直し、明日につなげるものだ。
その間、ギターによる「禁じられた遊び」の物悲しいメロディが流れる。
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