Yahoo!ニュース

自分に都合のよい証拠や事実は輝いて見える 複眼的な視点の重要さ(3)

前田恒彦元特捜部主任検事

ある強姦えん罪事件を題材に(続)

過酷な獄中生活

 問題は、単に無罪となるべき人物が間違って有罪判決を受けたということにとどまりません。過酷な獄中生活というお話になるのですが、社会の縮図である刑務所では、ストレス発散のはけ口として、イジメや嫌がらせ、誹謗中傷が横行しています。中でも性犯罪者は、受刑者の中でも最低ランクの人間として軽蔑されているし、これが小中学生に対するものであれば、なおさら酷いです。

 どうしても卑屈になりがちで、性格的に弱い人間が多いので、周囲から「ピンク」などと蔑まれ、イジメや嫌がらせのターゲットになっています。具体的には、無視して仲間に入れなかったり、食事を取り上げたり、下剤を飲ませたり、といったものです。

この記事は有料です。
元特捜部主任検事の被疑者ノートのバックナンバーをお申し込みください。

元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

前田恒彦の最近の記事