ノート(103) 検事が検事に語るという異例中の異例の供述調書

(ペイレスイメージズ/アフロ)

~整理編(13)

勾留61日目(続)

【「被疑者」か「参考人」か】

 検察側が公判で証拠として使おうと考え、弁護側に開示した関係者の供述調書は、最重要証人である國井君のものが7通であり、このほか、白井君のものが2通、塚部さんのものが2通、林谷君のものが1通、小林検事正のものが1通、玉井次席のものが1通だった。

 犯人隠避の容疑で市民団体などから告発されていた小林検事正と玉井次席を除き、國井君らの供述調書は、いずれも「被疑者」ではなく「参考人」として録取されていた。

 検察庁の供述調書は、被疑者とそれ以外の参考人とで書式が異なる。

 取調べの中で黙秘権が告知され、あるいはその存在を認識していたとしても、書式が参考人であれば、その立場で取り調べられていたということになる。

 國井君らも同様だった。

 中村孝検事が「最高検は本気で、徹底的にやる」と啖呵を切っていた以上、少なくとも隠ぺいに関わった関係者は共犯の疑いありとして最高検に犯人隠避罪で認知立件された上で、被疑者として取調べを受けているに違いないと思い込んでいた。

 その上で、大坪さんらが起訴された際、併せて不起訴という正式処分が下されており、少なくとも國井君は「嫌疑不十分」ではなく、上司に逆らえなかったといった理由から「起訴猶予」になっているものとばかり思っていた。

 とは言え、最高検は大坪さんや佐賀さんを悪人とするストーリーで突っ走っているわけだから、それ以外の全員を被疑者ではなく参考人として取り扱うというのも、うなづける話ではあった。

【取調べ官の個性が出る】

 また、関係者の取調べを担当したそれぞれの検事の個性もよく出ており、興味深かった。

 例えば、取調べ室の中で出ていたであろう國井君のナマの供述を取捨選択し、上手く供述調書にまとめているなと感心しつつも、どうでもいいような余事記載も目立つ伊藤栄ニ検事。

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前田恒彦

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15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。きき酒師、日本酒品質鑑定士でもある。

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