Yahoo!ニュース

『anan』のグラビアも話題に! かまいたち・濱家の底知れぬ人気の理由

ラリー遠田作家・お笑い評論家
(写真:アフロ)

今をときめく人気お笑いコンビ・かまいたちの濱家隆一。いまや数多くのレギュラー番組に出演している彼は、1月に雑誌『anan』(マガジンハウス)のバックカバーに登場して話題になった。

「リセットダイエット」特集の中で濱家は約2カ月にわたる本格的なトレーニングを行い、ボディラインを整える筋膜リリースエステや全身脱毛にも挑戦して、「自分史上最高」の体を手に入れた。そして、バックカバーとグラビアページでその細マッチョの肉体美を惜しげもなく披露していた。

この企画が実現したのは、かまいたちのレギュラー番組『かまいガチ』(テレビ朝日)の中で山内健司が「濱家に『anan』の表紙を飾らせたい」と発言したことがきっかけだ。

濱家は自分だけがグラビア撮影をするつもりで過酷なトレーニングに挑んでいたのだが、いざ蓋を開けてみると、相方の山内も濱家には内緒でトレーニングを行っていて、グラビアページにはコンビで登場していた。

芸人のグラビア挑戦という企画として見ると、そこで一応オチがついたことになるわけだが、長身で整った顔立ちの濱家には、女性のファンもどんどん増えてきている。そういう人たちにとっては、濱家のグラビアは願ってもないサービスということになるだろう。

ここ数年、かまいたちはお笑い界に並ぶ者がいないほどの快進撃を続けている。時流に乗って一時的に人気を博しても、その後は人気が徐々に落ちていってしまうような芸人も大勢いる中で、かまいたちは着実に仕事を増やしてきた。

コンビとしてのレギュラー番組だけでも十数本あり、濱家はNHKの音楽番組『Venue101』でもMCを務めている。テレビ業界の彼らに対する信頼と期待はますます高まる一方だ。かまいたちはYouTubeの活動にも力を入れており、彼らのYouTubeチャンネル『かまいたちチャンネル』は登録者数180万人を超えている。

彼らがここまでのし上がった最初のきっかけは、2019年の『M-1グランプリ』で準優勝したことだ。そこで披露した漫才で彼らの面白さが認められたことで、バラエティ番組に呼ばれる機会が急増した。だが、かまいたちがこれほどの飛躍を遂げた要因を「面白さ」だけで片付けることはできない。

お笑い界では「ボケは成長しない。ツッコミは成長する」という定説がある。ボケを担当する芸人の発想力やセンスは生まれつきのものが大きいのに対して、ツッコミの技術は努力によって磨かれて成長していくということだ。

かまいたちにもこれが当てはまる。彼らは、ツッコミの濱家が技術的にも人間的にも何段階も進化したことで、売れっ子になることができたのだ。

若手の頃の濱家は、自分の見た目に対する意識が低く、いかにも不健康そうな太り方をしていた時期もあった。だが、ある時期から見た目に気を使うようになり、どんどん小ぎれいになっていった。それによってもともとの高身長と端正な顔立ちが引き立って、女性ファンから支持されるようになってきた。

また、彼の内面にも変化があった。大阪を拠点に活動していた頃は後輩芸人に厳しい態度で接しており、「芸人の風紀委員」「楽屋番長」として恐れられる存在だった。普段から荒んだ生活を送っていて、それが芸人らしい生き方だと勘違いをしていたのだという。

だが、あるときに妻にアドバイスされたのがきっかけで、彼は心を入れ替えて、仕事にも真面目に取り組むようになった。そこからは生来の人の良さと気配り上手の一面を生かして、芸人として進化を遂げた。

東京に出てきてからは、有吉弘行、山崎弘也などの先輩芸人からの愛のあるイジリを全面的に受け入れて、親しみやすさをアピールした。大阪ではすでに売れっ子だったにもかかわらず、余分なプライドを出さずにがむしゃらにもがいてみせた。

その様子を見ていた番組スタッフや共演する芸人たちは、彼らの覚悟を感じた。そこで信頼を勝ち取ったことで、徐々に仕事が増えていったのだ。

今回の『anan』の企画でも、濱家は忙しい中で厳しい食事制限やトレーニングに真剣に取り組んでいた。何事も全力で挑むその姿勢こそが、かまいたちを当代随一の売れっ子に押し上げた最大の要因なのだろう。

山内の発想力というエンジンで駆動していたかまいたちに、濱家の仕切り能力と女性人気というブースターが加わった。彼らの快進撃はまだまだ続きそうだ。

作家・お笑い評論家

テレビ番組制作会社勤務を経て作家・お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など、多岐にわたる活動を行っている。主な著書に『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと『めちゃイケ』の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)、『なぜ、とんねるずとダウンタウンは仲が悪いと言われるのか?』(コア新書)、『この芸人を見よ! 1・2』(サイゾー)、『M-1戦国史』(メディアファクトリー新書)がある。マンガ『イロモンガール』(白泉社)では原作を担当した。

ラリー遠田の最近の記事