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テレ東リモート特番でも注目! ANZEN漫才・みやぞんは最強の天然芸人

ラリー遠田作家・お笑い評論家

本日4月25日はANZEN漫才のみやぞんの誕生日だ。そんな記念すべき日に彼の名前を冠した注目の番組『出川・IKKO・みやぞんの割り込んでいいですか?』(テレビ東京)が放送される。この番組ではもともとロケを行う予定だったのだが、新型コロナウイルスの影響でそれができなくなってしまったため、出演者全員が急きょリモート出演する形で収録が行われたのだという。

みやぞんはいまや自然体で生きる「天然芸人」の代表的な存在となった。元高校球児の高岸宏行など、彼に匹敵するような強烈なキャラクターを持つ後輩芸人も台頭しつつあるが、まだまだその地位は揺るぎそうにない。

日々、知恵を振り絞ってネタを考え、トークの腕を磨いている芸人たちにとって、最も脅威となるのがこの「天然芸人」である。どれだけ必死で考えて面白いことを言おうとしても、天然芸人の口から飛び出した意外性のある一言には勝てなかったりするものだ。天然とは最大にして最強の武器である。

みやぞんは2016年に『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)に出演した際、並外れた天然ぶりを炸裂させてとんねるずの2人の度肝を抜いた。質問されてもその意味を理解することすらできず、見当外れのことを答えたり、なぜか突然笑い出したりした。その突き抜けたおバカぶりには圧倒的な破壊力があり、視聴者にも衝撃を与えた。その後、ANZEN漫才はほかのバラエティ番組にもたびたび出るようになった。

ANZEN漫才のみやぞんとあらぽんは保育園からの幼馴染み。東京都足立区出身で、地元は不良ばかりでとてもガラが悪かった。その治安の悪さを題材にした『足立区の歌』という歌ネタも持っているほどだ。

みやぞんが天然なのは生まれつきだ。社交辞令というものが理解できず、他人の言葉をすぐに真に受けてしまった。子供の頃、知人の母親から「いつでも泊まっていいよ」と言われ、そのまま1カ月以上住み着いてしまい、最終的にはこっぴどく怒られたこともあった。

みやぞんは、ネタの中でギターを弾くこともあるし、運動神経も抜群。スポーツ万能でボクシングに打ち込んだ時期もあり、脇の下で鍋を潰せるほどの怪力が自慢だ。だが、根っからの天才肌で理論的なことが一切分からないので、ギターも見よう見まねの勘だけで弾いている。本を見てコード進行を覚えようとしたら、そのせいでかえって弾けなくなってしまったこともあった。

ただ、その驚異的な身体能力は『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)の海外ロケで生かされている。スペインで闘牛に挑戦した際には、襲いかかる牛をジャンプでよけてそのまま前転するというウルトラCを見事にきめてみせた。

計算ができる器用な芸人が増えれば増えるほど、計算を超えた破壊力を秘めた天然芸人の需要も高まる。35歳になったみやぞんはこれからも新たな伝説を作っていくのだろう。

作家・お笑い評論家

テレビ番組制作会社勤務を経て作家・お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など、多岐にわたる活動を行っている。主な著書に『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと『めちゃイケ』の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)、『なぜ、とんねるずとダウンタウンは仲が悪いと言われるのか?』(コア新書)、『この芸人を見よ! 1・2』(サイゾー)、『M-1戦国史』(メディアファクトリー新書)がある。マンガ『イロモンガール』(白泉社)では原作を担当した。

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