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SMILE-UP.の商標登録出願の日付について

栗原潔弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授
(写真:ロイター/アフロ)

SMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)のタレントマネジメント会社の社名が"STARTO ENTERTAINMENT"になることが発表されました(参照記事)。ネーミングとしての良し悪し(特に海外向け)の議論はおいて、商標登録の可能性について見てみると少なくとも"STARTO"という名称の商標登録はないので特に問題はなさそうです(もしSTARTにしていたら類似先登録がかなり存在することになりました)。現時点で、"STARTO ENTERTAINMENT"の商標登録出願の公開公報は出ていませんが、出願から公報発行までは数週間かかりますので、まもなく公開されるものと思います(まさか、出願していないということはないと思います)。

これとは別に、SMILE-UP.の方も社名を商標登録出願していました(商願2023-109471商願2023-109472)。CD類、エンタメ関係、グッズ関係、小売関係等幅広く指定されています。過去記事では「被害者救済のための存続会社であり、ブランドとして使用されることはおそらくないことから、(SMILE-UP.については)商標登録する必然性は薄いと思います」と書きましたが、第三者の勝手登録を防ぐため等の意味はあるのでやはり出願はされましたね。

気になるのは出願日です。10月2日という新社名の発表が行われた当日の出願になっています。その結果、「例の会社」が同日に「SMILE UP」の出願を行ってしまっています。「SMILE-UP.」と類似と判断される可能性があります。商標は先願主義ですが、先後願の判断は日付基準であって時刻は関係ありません。したがって、記者発表を見てその日の内に出願すれば、同日出願となり、先後願の判断においては同格となってしまいます。例によって「例の会社」は出願手数料を払っていないのでいずれ出願却下になり影響はないものと思われますが、本家SMILE-UP.の方の審査は多少遅れることになるかもしれません。また、仮に「例の会社」が出願手数料を払って正規の審査に進んでも、SMILE-UP.にフリーライドした出願であることは明らかであることから最終的に拒絶になり、本家SMILE-UP.の方の登録が妨げられることはないでしょう(ただ、この場合は登録がかなり遅れることになります)。

一般に、このような重要な名称を発表する場合には、発表の前日に商標登録出願するのがベストプラクティスです。勝手出願による同日出願が発生すると、かなり登録が遅れる可能性がありますし、万一、勝手出願の方が拒絶にならないとかなりやっかいなことになるからです。

追記:関連YouTube動画作ってみました。

弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

日本IBM ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事 『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 スタートアップ企業や個人発明家の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています お仕事のお問い合わせ・ご依頼は http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から 【お知らせ】YouTube「弁理士栗原潔の知財情報チャンネル」で知財の入門情報発信中です

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