NewJeansの商標登録はどうなっているか?
私も大ファンのNewJeansのマネジメント会社(ADOR)が親会社(HYBE)といろいろもめているようです(参照記事「NewJeans日本デビューに赤信号? 所属事務所に親会社が監査、ミン・ヒジン代表辞任を要求」)。今後どうなるかはわかりませんが、解散・活動休止・分裂という結果だけは避けて欲しいと"NewJeansおじさん"としては切に思います。
さて、ここでは、NewJeansの商標登録がどうなっているかを見てみましょう。"New Jeans"という商標が2022年9月に国際商標登録出願(マドリッドプロトコル出願)(国際登録1698966号)されています(基礎出願は2022年1月に韓国で国内出願されています)。出願人は親会社のHYBEではなくADOR名義でした。ブランクなしの"NewJeans"が正規の表記だと思いますが、なぜか、ブランクありの"New Jeans"で出願されています。これが、日本国内で確認できるADOR名義の唯一の商標登録出願です。
指定商品は3類(化粧品)、9類(コンピューター関係)、14類(アクセサリ)、16類(紙類)、18類(かばん類)、20類(家具)、24類(タオル類)、26類(装飾品)、28類(玩具)、35類(小売等)、41類(エンタメサービス)と広範です。マーチャンダイズビジネス(グッズ販売)を考えれば当然です。
25類(衣服)が指定されていないのが意外ですが、"New Jeans"という商標を衣類について使用すると「新しいジーンズ」というそのまんまの意味になってしまい「記述的」という理由で拒絶される可能性が大なので登録を断念したのではないかと思います。そう考えると、衣服ブランドの展開も十分考えられるグループに、衣服そのまんまの意味としてとらえられる名前を付けたのは、そもそもどうだったのよという議論も生じます。
また、細かい話ですが、"New Jeans"ではなく、本来の表記の"NewJeans"で出願しておけば、これは「新しいジーンズ」という意味ではなく、NewJeansという(世界的に著名な)ガールズグループの名前であるという主張が多少なりともしやすかったのではないかと思います(韓国の基礎出願日である2022年1月時点ではブランクなし表記がまだ固まっていなかったのでしょうか?)
この出願は、中国、欧州、英国、米国では既に登録査定となり、権利が生じています。日本は現在審査中(暫定拒絶対応中)です。一部の商品が記述的として暫定拒絶されると共に、指定商品CDについてはアーティスト名が登録できないという日本独自の審査運用(いわゆるLADY GAGA判決によります、ちょっとややこしいのでご興味ある方は過去ブログ記事をご参照ください)により暫定拒絶されています。国際商標登録出願の場合にはウェブから審査経過が見られないのですが、3月28日に意見書が出ていますので、一部商品の補正・削除後に登録されるのではないかと思います。
あくまでも仮の話ですが、もしNewJeansがADORから独立ということになると、この登録商標の存在により少なくともグッズ展開が困難になり得ますので、NewJeansという名称が使用できなくなる可能性があります。もちろん、外部からは見えない当事者間の契約でいろいろと縛りがあるはずですので、商標権だけですべてが決まるわけではありません。