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グリーに大勝利をもたらしたゲーム関連特許を解説する(1)

栗原潔弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授
出典:2:19-cv-00310(Texas Marshall)訴状

グリーが米国の特許権侵害訴訟においてSupercellから(おそらくはきわめて有利な条件での)和解を勝ち取った件についてちょっと前に書きました。そこでは、特許US10328346について解説しましたが、グリー対Supercellの訴訟で使用されたその他の米国特許についても、引き続き解説していこうと思います(基本的には概要については無料公開、クレームの分析部分のみ有料という形にさせていただきます)。

今回の対象は、US10076708です。発明の名称は”Game control method, game server, and program”、これだけだと何だかよくわかりませんが、カード対戦ゲームにおけるガチャに関する特許です。実効出願日(優先日)は2012年6月21日、登録日は2018年9月18日です。日本ではファミリー出願が5632541等として特許化されていますが、最終的な権利範囲はかなり異なります。

言うまでもなく、ガチャは、ゲームの面白さ(射幸性)を高める重要な要素であり、賛否両論はあるものの、ゲーム会社にとっては収益性を高める上で重要な技術です。日本におけるガチャの特許としては、スクエア・エニックスやバンダイ・ナムコによるものがあります。さすがにガチャそのもののアイデアでは特許化はできませんが、ちょっとした付加的アイデアの追加で特許化できているので、新規参入者は注意が必要かもしれません。これらのガチャ関連特許についてはまた改めて記事化する予定です。

さて、この特許、ひとつの訴訟においてメインで使用されているので、強力な特許かと思いましたが、意外とそうでもありませんでした。審査経過を見ると、RCE(継続審査要求)を経て、クレームに実装イメージに近い限定を加えた上で特許化されています。知っていれば容易に回避できる雑魚キャラのような特許です(失礼)。しかし、訴訟における陪審員評決でも侵害が認められ、多額の損害賠償額の算定に貢献し、結果としておそらくは有利な和解に持ち込めたことになるので、訴訟戦略全体の中では有効に機能したことになります(雑魚キャラもうまく使えば有効という点では、まさにゲームの世界と同じです)。

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弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

日本IBM ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事 『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 スタートアップ企業や個人発明家の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています お仕事のお問い合わせ・ご依頼は http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から 【お知らせ】YouTube「弁理士栗原潔の知財情報チャンネル」で知財の入門情報発信中です

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