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アップル、顔を叩いて操作できるイヤホンの特許を取得

栗原潔弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授
出典:US10873798特許公報

ウェアラブルデバイスの操作方法については数々のアイデアが生まれています。昨年の10月には「アップルによる顔の表情で操作するスマートグラスの特許が登録に」という、レーザーセンサーで顔の表情筋の動きを読み取ってスマートグラスを操作する特許の記事を書いています。この分野は特許化できそうなアイデアがまだまだありそうです(我こそはという方は出願してみてはいかがでしょうか?)。

AirPodsのような完全ワイヤレスイヤホン(イヤーバッド)の操作方法として何が考えられるでしょうか?すぐに思いつくのはマイク経由の声による操作や本体のタッチによる操作ですが、最近、アップルが別の方向性によるワイヤレスイヤホンの操作方法に関する特許を取得しました。声による操作は人前で声を出すことに躊躇してしまう、本体のタッチによる操作はイヤホンが小型であることから難しいという問題を解決し得る発明と思います。

特許番号は、US10873798号、登録日は2020年12月22日、発明の名称は"Detecting through-body inputs at a wearable audio device"(ウェアラブルオーディオデバイスに対する人体を経由した入力の検出)、出願日は2018年8月4日です。

発明のポイントはイヤホンに振動センサーを設けて、ユーザーの体経由で入力操作を検出し、所定の操作(典型的にはボリュームの上下)を行なうというものです。入力の例としては、顔面や頭部を叩いたりスワイプしたりする音、歯のかみ合わせ音、舌を鳴らす音、聞こえないほどのつぶやきなどが挙げられています。

出願当時のクレームは実質的に「人体を経由して伝わってきた音声信号に基づいて音声出力を調整するイヤホン」というかなり範囲が広い発明だったのですが、審査過程で限定を余儀なくされて、かなり具体的な実装に近い権利範囲になっています(なお、アップル自身による特許出願が主引例になっています)。

方法クレームの方が権利範囲が広そうなので方法の独立クレームであるクレーム5を見てみましょう。

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弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

日本IBM ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事 『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 スタートアップ企業や個人発明家の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています お仕事のお問い合わせ・ご依頼は http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から 【お知らせ】YouTube「弁理士栗原潔の知財情報チャンネル」で知財の入門情報発信中です

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