バイデン新大統領の無観客就任式、つつがなく終了したようですね。

さて、米国の特許専門ブログPATENTLYOの執筆者である、ミズーリ大法学部のDennis Crouch教授が、就任式(inauguration)に関する特許を調べていて、Facebookによる最近登録された興味深い特許を発見したとツイートしています。

特許番号はUS10855640、発明の名称は”Interface for sharing posts about a live online event among users of a social networking system”(ソーシャル・ネットワーキング・システムのユーザーによるライブ・オンライン・イベントに関する投稿をシェアするためのインタフェース)、登録日は2020年12月1日、出願日は2009年12月23日です。

もちろん、大統領就任式だけに特化した特許ではなく、大規模イベントのネット中継一般に関するユーザー・インターフェースの特許ですが、代表図(タイトル画像参照)がオバマの就任式をウェブ上で中継している実施例になっています。

Crouch教授が指摘する第一の問題として、この図面のコメント画面になぜか実在の大学教授やベンチャー投資家の名前が使われている点があります。勝手に名前を使われた人の中には本気で怒りのツイートを投稿している人もいます。どうやらオバマ就任式の際のツイッターの実際のスクリーンショットを使って実施例の画像を作成し(おそらくは図面作成業者が)それをそのまま特許図面化してしまったと思われます。ちょっと名前を変えるなり、ぼかしを入れるなどの配慮をすべきだったでしょう。

もう一つのより重要な問題は、この特許があまりにも自明であり、本当に新規性・進歩性の条件を満たしているのかという点です。ちょっと見る限り、ビデオ映像とソーシャル・メディアのコメント・フィードを並べて表示するだけの発明にも見えます。出願日が2009年である点を加味する必要がありますが、たとえば、Ustream(懐かしい)は2007年3月にはサービスを開始していたので、コメントが入力できるライブストリーミングのアイデア自体は出願時点で公知でした。

また、YouTube Live、ニコ生、ツイキャス等、今日のライブストリーミング系サービスはコメント・フィード表示機能があることが通常ですので、それらのサービスが抵触することがないかも気になります。

審査過程を見てみると、この特許は実質的に出願当初のクレームでそのまま登録されてはいるものの、全クレームがファミリー出願であるUS9571442と実質的に同一であるとして、ダブルパテントの拒絶が通知され、Facebookはterminal disclaimer(期間の一部放棄)により対応しています。つまり、US9571442 のクレームと審査経過の方を見ないと、USPTOによる新規性・進歩性の判断の本質的部分はわかりません。

ということで、US9571442について見ていきましょう。クレーム1の内容は以下のとおりです。