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アップルによる顔の表情で操作するスマートグラスの特許が登録に

栗原潔弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授
米国10,809,796号特許公報

スマートグラスの入力方法というと、誰でも思いつくタッチ操作と音声操作に加えて、視線による操作、手や指の空中の動きによる操作、ARで仮想キーボードを表示して指で操作等があると思いますが、顔の表情により様々なジェスチャー操作を可能にするというアップルの発明が米国で特許化されました(公開ではなく権利化です)。権利範囲は結構広いです。

特許番号は10,809,796(まだGoogle Patentには掲載されていません)。登録日は2020年10月20日、出願日は2018年9月27日、最先の優先日は2017年9月29日、発明の名称は"Monitoring a user of a head-wearable electronic device"です。米国外での出願は確認できていません。

基本的アイデアは、眼鏡のテンプル(つる)部に光センサーと発光素子を内蔵し、顔の表情筋の反射を検知して表情を読み取り、ジェスチャー操作とするというものです。特許明細書上は、タイトル画像のような様々な表情(噛む動作、微笑、しかめ面、あえぎ、口を開ける、口を閉じる)を検出可能とされています。

明細書には実際のセンサーの読み取りデータも挙げられているのでまったくの机上のアイデアということはないと思いますが、このアイデアが製品化されたとして、実際にどれくらいの精度で読み取り可能になるかは何とも言えません。また、ついあくびをして、スマートグラスを誤操作してしまうようなことはないのでしょうか?(もちろん、もし製品化されればこのような状況を防ぐために様々な工夫が行われることになるでしょうが)。

また、このアイデアを使ったスマートグラスが普及すると、電車の中で1人でにやついたり顔をしかめている人がいて「気持ち悪っ」と思ったらスマートグラスを操作しているだけだったという事態も起きるかもしれません(一時期びっくりさせられたハンズフリーで電話している人にだんだん慣れてきたのと同様かと思います)。

請求項1の内容は以下の通りです(他の請求項は請求項1の従属項なので、請求項1が一番権利範囲が広いです)。

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弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

日本IBM ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事 『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 スタートアップ企業や個人発明家の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています お仕事のお問い合わせ・ご依頼は http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から 【お知らせ】YouTube「弁理士栗原潔の知財情報チャンネル」で知財の入門情報発信中です

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