本庶佑教授を発明者とする特許について調べてみた

(写真:ロイター/アフロ)

先日にノーベル医学生理学賞を受賞された本庶佑教授を発明者とする特許について調べてみました。

まず、一般的なお話しですが、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)の特許・実用新案検索で発明者をキーとして検索する際にはちょっとした落とし穴があります。データベースの内容の標準化ができておらず、発明者の姓と名の間にブランクがあるものとないものがあるためです。

「発明者」が「本庶佑」を含む、という条件で検索すると、発明者が「本庶 佑」になっているエントリーが漏れますので、ワイルドカードを使って「発明者」に(本庶佑 OR '本庶?佑')を含む、という条件で検索しなければなりません。

検索すると全部で34件ヒット(登録に至っていないものも含めると46件ヒット)します。現在の話題の中心になっている免疫チェックポイント阻害薬オプジーボに関連する最初の特許は4249013号「PD-1に対し特異性を有する物質」と思われます。本庶教授と小野薬品工業の共同出願です。特許ロイヤルティの分配がどうなっているかは当事者どうしの取り決めなので外部からではわかりません。

請求項1の内容は以下のとおりです。

【請求項1】配列番号31で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドにより構成される二重特異性抗体。

アミノ酸の物質特許なので、クレーム自体はシンプルでアミノ酸配列のデータを出願書類に添付することで発明を特定することになります。

癌治療への応用で最初のものはおそらく4409430号「免疫賦活組成物」で、請求項1の内容は以下のとおりです。

【請求項1】

PD-1抗体を有効成分として含み、インビボにおいてメラノーマの増殖または転移を抑制する作用を有するメラノーマ治療剤。

PD-1抗体自体は既知の物質ですがその新たな用途としてメラノーマの治療効果が発見されたという用途発明の特許です。ちょっとスケール感は違いますが以前書いた(公知のものである)正露丸がアニサキスに効果があることを発見したことで新たに特許を取得できたのと同じ構造です。

ちなみに、昨年に小野薬品(と米BMS)が米国の製薬会社メルクに対する特許侵害訴訟で6億ドル以上の和解を勝ち取ったというニュースがありましたが、そこで使われた特許がこの特許と関連する米国特許(US8728474)です。

私は製薬分野は素人なので本稿では簡単な紹介に留めますが、どなたか専門の方が特許公報を読んで中身を解説していただけることを期待します。