任天堂が対コロプラ特許侵害訴訟で使った特許番号が明らかになったので中身を解説します(前半)

特許4262217号公報

話題になっている任天堂対コロプラの特許侵害訴訟、裁判資料に閲覧制限がかかっていたため、どの特許が問題になっているのか明らかではありませんでしたが、ようやく閲覧制限が解除されたようで、WSJ紙の望月記者が裁判記録を閲覧してツイッターで報告されています(多謝)。

ということで、以下、簡単に内容を説明していきます。

3734820号については、以前に私が書いた記事の勝手予想が当たっていました。内容については当該記事をご参照ください。以下、残りの4件(のうちの2件)について簡単に解説します(公報に直リンが張れるようになったのは助かりますね)。主要クレームのみ見ていきます。

特許4262217号 「ゲームプログラム及びゲーム装置」

【請求項1】

ゲーム画像が表示される表示画面上の位置を指示するためのポインティングデバイスを備えるゲーム装置のコンピュータに、

前記ポインティングデバイスからの出力信号に基づいて、当該ポインティングデバイスを通じて入力される前記表示画面上の位置を示す座標値を逐次検出する座標検出ステップと、

前記表示画面上に表示される第1のオブジェクトが前記ポインティングデバイスにより操作されている状態にあるときに、前記座標検出ステップで検出された座標値に基づいて当該第1のオブジェクトを移動させる移動制御ステップと、

プレイヤの前記ポインティングデバイスによる入力操作に関連する位置情報と前記表示画面上に表示される第2のオブジェクトの位置情報とに基づいて双方の位置関係が所定の条件を満たすか否かを判別する位置関係判別ステップと、

前記第1のオブジェクトが前記ポインティングデバイスにより操作されている状態が解除され、かつ、前記位置関係判別ステップにより前記位置関係が所定の条件を満たすと判別されたときには、前記第1のオブジェクトと前記第2のオブジェクトとの何れか一方が他方に対して所定の動作を行うよう当該一方を制御する動作制御ステップとを実行させる、ゲームプログラム。

どういう特許かというと、自キャラを操作して敵キャラに近づいた時に操作を解除(典型的にはタッチスクリーンから指やペンを離す)した時に、敵キャラに十分近い時には自動的に攻撃等を開始するという操作方法の特許です(タイトル画像の例で言うと、ペンを画面から離した時にモンスターとキャラの距離が所定距離以下であれば攻撃メニューを選ぶことなくモンスターへの攻撃が開始されます)。いちいちメニューから選んで攻撃するのは煩雑ですし、かと言って敵キャラに近づいただけで勝手に攻撃を始めるのではプレーヤーの意図しない攻撃を行なってしまう可能性があるので、指やペンを離すという自然な動作をトリガーとして攻撃するというUI特許です。

特許4010533号「ゲーム機、電子機器、および省電力モード管理プログラム」

【請求項11】

内部消費電力を抑える省電力モードを備えるゲーム機であって、

そのハウジング表面に設けられ、ユーザの操作によって操作信号を発生させる操作スイッチと、

前記省電力モード中に、前記操作スイッチから発生する第1の操作信号が予め設定された第1段目の復帰条件と一致するか判定する第1の復帰判定手段と、

前記第1の復帰判定手段で前記第1の操作信号が前記第1段目の復帰条件と一致すると判定されたとき、前記省電力モードを解除する省電力モード解除手段と、

前記省電力モード解除手段で前記省電力モードが解除された後、第2段目の復帰条件を表示装置に表示する復帰条件表示手段と、

前記操作スイッチから発生する第2の操作信号が前記第2段目の復帰条件と一致するか判定する第2の復帰判定手段と、

前記第2の復帰判定手段で前記第2の操作信号が前記第2段目の復帰条件と一致すると判定されたとき、前記省電力モードに移行する直前に前記ゲーム機で処理されていたゲーム処理モードに復帰させるゲーム処理モード復帰手段とを備える、ゲーム機。

なぜか請求項1(プログラムクレーム)ではなく、請求項11(装置クレーム)が使われています。コロプラはゲーム機を製造しているわけではないですが、スマホを装置クレームに記載したゲーム機として機能させるプログラムを提供しているので間接侵害を問える、かつ、装置クレームの方が侵害を立証しやすいからかもしれません。

この発明のポイントは、スリープモードから復帰した時に、いきなりゲーム画面に戻るのではなく、一度確認画面を出して本当に戻ってよいかを確認してからゲーム画面に戻るということです。スマホ(や携帯ゲーム機)がポケットの中などで勝手にスリープ解除され、ゲームが始まってしまうのを防ぐ発明ということになります。

いずれも、いかにもありそうだった(しかし、少なくとも審査では新規性・進歩性ありと判断された)ということで結構強力な特許に思えます。こんなの当たり前だ(特に後者)と思う方は出願日に注目してください。初代iPhone(2007年)よりもはるかに昔です。(ところで、以前の記事を書いた時にも思いましたが、これらの一連の出願、担当弁理士先生の明細書の書き方が大変ていねいでわかりやすいので勉強になります。)

長くなったので残り2件は後半に回します。