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ユニクロがクロエ、ジバンシィ出身のクレアと協業ライン「UNIQLO : C」 9月15日発売

松下久美ファッションビジネス・ジャーナリスト、クミコム代表
クレア・ワイト・ケラーによる「UNIQLO : C」 写真はユニクロ提供

 「クロエ」(CHLOÉ)や「ジバンシィ」(GIVENCHY)でクリエイティブ・ディレクターとして活躍し、“エフォートレス・ラグジュアリー”の旗手として、肩ひじの張らないリラックス感のある洗練された上質スタイルで多くの人々を魅了してきたクレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)。ファーストリテイリング「ユニクロ」とのコラボレーションライン「UNIQLO : C」(ユニクロ:シー)が今秋デビューする。発売日は9月15日。世界のユニクロ店舗とECサイトで発売される。

 コンセプトはThe sophistication of everyday(洗練された日常生活)「LifeWearの上質な普段着を、タイムレスなデザインとモダンなシルエットで鮮やかに昇華しました」「今の女性の生き方を投影したシックなワードローブ」「都会の日常からリラックスした週末まで、さまざまなシーンにとけこむ、エレガントで心地よいデイリーウェアを提案します」「現代女性の洗練されたエネルギーと感性を美しく描くUNIQLO : C、第1弾の誕生です」とユニクロ。

 「ユニクロ」が公表したクレアのインタビューのダイジェストは以下の通り。

 「UNIQLO : C」は「日常のエッセンシャルワードローブに、カジュアルかつシックな要素を取り入れたコレクション」であり、「これまで何年も『モダンでエフォートレスなスタイル』を軸にデザインし続けてきましたが、それは私を含む女性たちにとって、大切な表現だと思っています」。

 「C」はクレアのCであるとともに、「カジュアル、シック、シティ、クラリティ(明快さ)、コネクション、カプセル、コネクティビティ(つながり)、クリエイティビティ」といった、マインドやスピリットを表している。

 女性のワードローブを考えたときに大切だと感じるエッセンスとして、「例えばコートのフォルムや、女性らしさ、街での生活から週末の旅先まで、どこでも自由に着られる柔軟性など。ストレスなく動くことができて、長く愛用できるエフォートレスな日常のワードローブにこだわりました」。

 「制作過程でワクワクするような挑戦がいくつもありました」。「ジバンシィ」や「クロエ」などで「過去に取り入れてきた技術を、今回も組み込みたいと考えたからです。例えばプリーツや細かいギャザーなどに、表情豊かなテクスチャーの強い素材を使ったり。また、ワンピースにはウエストのドローストリングを取り入れて、好きなシルエットに調整できるようにしました。さらに、美しいサテンのプリーツスカートの裾の部分にはグラフィカルな切り替えが施されているのですが、プリーツとグラフィックを両方美しく仕上げるのはかなり難しいことでした。それでも、最終的には理想のものが生み出せたとうれしく思っています」。

 その代表アイテムが、グラフィカルな切り替えが施されたサテンの「プリーツカラーブロックスカート」(5,990円)と、上質なカシミヤを立体感のあるケーブル編みで表現した「カシミヤケーブルクルーネックショートセーター」(1万900円)、透け感が美しいペイズリー柄の「シフォンプリーツワンピース」(5,990円)だ。

 このコレクションで最もこだわったポイントは「間違いなく素材です」。「コレクションの価格帯を考えると、理想のシルエットを生み出すためにどのような素材を使うか、まずその点においてよく考えることが必要でした。どの素材を使えば、価格帯を考慮しながらも理想的で美しいものが作れるのか。結果的に、素晴らしいものに辿り着いたと思います。コットン、ナイロンのアイテムは特に優れた仕上がりです。こうしたクオリティの高さは、今回のコレクションをデザインするに当たって、最も驚いたことです」。

 クリエイションのアプローチとして、最初に使いたい生地を選び、その色や柄をイメージしつつデザイン画を起こした。今回は1940年代の生地が着想源になっている。色彩については、これまでと同様に「どの時代も活躍し続けるニュートラルでクラシックなカラーパレットを見る」ところからスタート。次に、シーズンのパレットを考える。そして、仕上がったサンプルは必ず自然光で色味を確認するのがクレア流だ。

 お気に入りアイテムのトップ5は、「外せないのは、トレンチコート(1万2,900円)。プリーツスカート(5,990円)も特別です。タイムレスで美しい色合い、流れるような素材感。カラーが本当に素晴らしい。ダブルフェイスコート(1万2,900円)は、価格を疑うほどに上質でラグジュアリーな仕上がりです。カットが美しく、カラートーンもとてもきれいです。チャーミングなウールキャップ(2,990円)もまた、エッセンシャルアイテムのひとつですね。コーディネートを完成させてくれて、ちょっとしたアティチュード(個性)をプラスしてくれる。最後に、コーデュロイパンツ(4,990円)のシルエットも気に入っています。はくととても魅力的で、秋冬のワードローブには欠かせません」。

 コレクションは計34点。「自由でエフォートレスな感覚、フェミニンな雰囲気、鮮やかな色合い、すべてをコーディネートできるスタイリングの幅など。従来のカテゴリーを超えて、多種多様な組み合わせを楽しむことができます。クールなボーイフレンドルック、カジュアルシックなスピリットや個性を表現しながら、タイムレスな喜びを味わっていただけたらと思います」。

クレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)

イギリス生まれ。カルバン クライン(CALVIN KLEIN)のウィメンズのスタイリストを皮切りに、ラルフローレン(RALPH LAUREN)の最高級ライン“パープルレーベル”でメンズのスタイリストを務める。トム・フォードがクリエイティブ・ディレクター時代のグッチ(GUCCI)でもキャリアを積み、ウィメンズウエアとバッグなどのアクセサリーを担当。2005年にプリングル オブ スコットランド(PRINGLE OF SCOTLAND)のデザイナーに就任。2011年にクロエ(CHLOÉ)のアーティスティック・ディレクターに抜擢される。2017年にジバンシィ(GIVENCHY)に移り、ウィメンズに加え、メンズウェアやオートクチュールも手がけた。ヘンリー王子とメーガンマークルの結婚式で着用されたウエディングドレスをデザインしたことでも話題を呼んだ。2018年にブリティッシュ・ファッション・アワードの「ウィメンズウェア・デザイナー・オブ・ザ・イヤー」を受賞。2019年には『タイム』誌の「世界で最も影響力のある100人」の一人に選ばれた。2020年にジバンシィを退社。復活が待たれていた。プライベートではアメリカ人建築家の夫フィリップ・ケラーとの間に生まれた20歳になる双子の娘と11歳の息子を育てるワーキングマザーでもある。

ファッションビジネス・ジャーナリスト、クミコム代表

「日本繊維新聞」の小売り・流通記者、「WWDジャパン」の編集記者、デスク、シニアエディターとして、20年以上にわたり、ファッション企業の経営や戦略などを取材・執筆。「ザラ」「H&M」「ユニクロ」などのグローバルSPA企業や、アダストリア、ストライプインターナショナル、バロックジャパンリミテッド、マッシュホールディングスなどの国内有力企業、「ユナイテッドアローズ」「ビームス」を筆頭としたセレクトショップの他、百貨店やファッションビルも担当。TGCの愛称で知られる「東京ガールズコレクション」の特別番組では解説を担当。2017年に独立。著書に「ユニクロ進化論」(ビジネス社)。

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