H&Mの創業家が設立した非営利団体「H&M基金(H&M FOUNDATION)」と「香港繊維アパレル研究所(HKRITA)」が、空気中の二酸化炭素(CO2)を吸収する衣服を開発した。H&M基金はこのカーボンルーパー(Carbon Looper)プロジェクトで(環境負荷が大きいと言われる)ファッション業界のパラダイムシフトの始まりとなる可能性があると指摘。海外メディアも温暖化を抑止する脱炭素(カーボンニュートラル)に向けた画期的なものだと評価する。

 カーボンルーパーの第1弾はエプロン型ウエアだ。二酸化炭素吸収液(アミン含有溶液)を加工した綿繊維の生地がCO2を吸収。室温で30~40度に加熱すると吸収したCO2が生地から放出され、光合成を行う植物に自然に取り込ませることができるというもの。H&M基金によると、1日のCO2吸収量は木の3分の1に相当。服から服へ3回循環させることで実質的にクライメイトニュートラル(気候変動を中立化)、さらにはクライメイトポジティブ(気候変動にプラスの効果を発揮)になるという。

 現在、オーガニックや地産地消をベースにした循環型キッチンを目指し、本国スウェーデンで最も持続可能な料理を出すと言われているレストラン「Fotografiska Stockholm(フォトグラフィスカ・ストックホルム)」で着用テストを実施中だ。グリーン(緑)を取り入れた環境設計も特徴で、水耕栽培の庭をエプロンに吸着させたCO2の吸収施設として機能させている。

レストランの水耕栽培の前で。左からH&MFOUNDATIONプラネットポジティブ戦略責任者、Fotografiskaエグゼクティブシェフ兼プラネットキーパー、HKRITAのCEO 画像はH&M基金より
レストランの水耕栽培の前で。左からH&MFOUNDATIONプラネットポジティブ戦略責任者、Fotografiskaエグゼクティブシェフ兼プラネットキーパー、HKRITAのCEO 画像はH&M基金より

 H&M基金はHKRITAと提携し、プラネット・ファースト・プログラムを推進中だ。2020~2024年の5年間に1200万ドル(約15億円)を寄付。カーボンルーパープロジェクトもその一環だ。完璧を追求するよりも、解決策を早く外に出してテストと改善を繰り返し規模の拡大を推進。コンセプトや技術もオープンに開示することで人々を刺激し、気候変動阻止のリーダーを目指す。

 HKRITAのエドウィン・ケー(Edwin Keh)CEOも「研究室で行っていることは、研究室を出て初めて役立つもの。カーボンルーパーは、繊維・アパレル・ファッション業界でカーボンニュートラルを実現できるか検証するためのプロジェクトの一つ。今回のテストを通じて、炭素吸収容量などを改善するとともに、より多くの用途を開発していく」と説明。カーテンやテーブルクロス、家具などアイテムや使用シーンも広がりそうで、企業・ブランドによる商品化が待たれる。

 なお、H&Mは「クライメイトポジティブ」をスローガンに、科学的根拠に基づく目標(SBTi)の定義に基づき、遅くとも2040年までにネットゼロ(温室効果ガスの排出総量を正味ゼロにする)を達成することを目指している。

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