写真クレジット:BE@RBRICK TM & (c) 2001-2021 MEDICOM TOY CORPORATION. All rights reserved./AROMA ORNAMENT (c) LIBRARY DESIGN.inc All rights reserved.(写真すべて)

日本のみならず海外からの人気も高く、コレクターも多いのが、クマをモチーフにしたメディコム・トイのブロックタイプのフィギュア「ベアブリック」(BE@RBRICK)だ。アロマオーナメントで協業するのは、“白い図書館”を意味する「ビブリオテーク ブランシュ」(Bibliothèque Blanche)。森羅万象やブランド、アーティストの世界観を純白の石膏で表現した、アートのような精巧なモノづくりで定評がある。2017年に始まった「BE@RBRICK AROMA ORNAMENT」シリーズでは、パリの「コレット」(Colette)や、ミラノの「 ディエチ コルソ コモ」(10 Corso Como)といったセレクトショップや、川久保玲率いる「コム デ ギャルソン」(COMME des GARÇONS)や森永邦彦による「アンリアレイジ」(ANREALAGE)など気鋭のデザイナーズブランドとのトリプルコラボを行ってきた。8月27日に発売した最新コラボは、ソフィア・コッポラが友人と立ち上げて90年代のガールズカルチャーを牽引した「ミルクフェド」(MILKFED.)だ。2000年代半ばにブランドを離れているが、今回は彼女が開発に携わり2002年に発売した「ミルクフェド」オリジナルのジャスミンの香りを復刻させたもの。往年のファンにも、より客層が広がった現在のファンにも、そして「ベアブリック」ファンからも支持を集めそうなこの企画を実現した「ビブリオテーク ブランシュ」の廣川由美絵ディレクターに、開発の背景やこだわり、ストリートカルチャーの潮流などを聞いた。

「BE@RBRICK AROMA ORNAMENT」シリーズ。「コレット」や「コルソコモ」「コム デ ギャルソン」「アンリアレイジ」などとのコラボに加え「ミルクフェド」(下段右端)が新登場。
「BE@RBRICK AROMA ORNAMENT」シリーズ。「コレット」や「コルソコモ」「コム デ ギャルソン」「アンリアレイジ」などとのコラボに加え「ミルクフェド」(下段右端)が新登場。

――「BE@RBRICK AROMA ORNAMENT」シリーズを始めたきっかけは?

廣川:もともと「スターウォーズ」の石膏にエッセンシャルオイルを垂らして飾るアロマオーナメントをパリの伝説的セレクトショップ「コレット」のサラ・アンデルマン(Sarah Andelman)が気に入って店に置いてくれたのが始まりです。その時、「『コレット』にもオリジナルの香りがあるのよ。キャンドルはあるので、それ以外で何かできる?」と尋ねられて。彼女は日本も好きだし、日本らしいカルチャーを感じるものがいいなと思って。そこで15年来の付き合いがあったメディコム・トイに相談し、「コレット」バージョンの「ベアブリック」をライブラリーデザイン社が石膏で作ることを提案し、3者コラボが実現しました。

 ほとんど告知していなかったのですが、買い物に来ていた人たちが次々と購入して、発売初日に品切れになり、2度目の発売でも即日完売したほど反響がありました。

日本ではメディコム・トイの表参道ヒルズ店に続き、伊勢丹新宿店でライブラリーデザイン社のポップアップストアで販売したのですが、朝からこれを目掛けて来店されて、「今あるだけ全部ください」と買われていって即完売に。嬉しい反面、反省して、翌日からは購入個数を制限しました。それでも開店5分でなくなる日が続くなどとても良いスタートを切れました。

――メディコム・トイはファンやコレクターが多いことでも知られているが、パリの「コレット」でも伊勢丹でも売れた理由は何だと思う?

廣川:購入客の多くがメディコム・トイ、「ベアブリック」のファンだったと思うが、真っ白くてなめらかな石膏素材の質感の新しさや、おもちゃのようでいてインテリアにもなるクオリティの高さ、そして、「コレット」の香り=お店の雰囲気を家に持ち帰って楽しみたいファンの存在、などがあったのかなと思います。メディコム・トイと「コレット」のカルチャーがマッチしたということも大きいと思います。「ベアブリック」を知らないという方も伊勢丹で買っていただいたのですが、「コレット」のファンだったり、あるいは、単純に真っ白いクマのフォルムのカワイらしさに惹かれて買いに来てくださったようです。

その後、「コレット」に続いて、「コルソ コモ」や「コム デ ギャルソン」「アンリアレイジ」ともコラボしていますが、購入時にご挨拶いただいたり、SNSへのポストなどをみていると、クリエイターや建築家のお客さまが多いイメージもあります。「ベアブリック」は100%のサイズのものが身長7センチなのですが、このシリーズは200%の大きさを座らせたもので、全長約12センチのわりには高めの価格設定(8000円前後~1万円台半ば)です。すべて日本のアトリエで職人が手作りしているので、仕上げも丁寧で、メディコム・トイからも再現性が高いと言っていただいていますし、香り付きの彫刻・インテリア・アートとしてクリエイターや建築家に刺さっているのではないかと思います。

ここ1~2年、メディアで紹介されたからか、中国や台湾などアジアからのオーダーも多いのですが、カナダの富裕層エリアに住む方々や、フランスのベルサイユ宮殿からの注文もありました。フランスは彫刻や石膏の美術ファンが多いので、親和性が高いのかもしれませんね。

日本の職人が作り上げた精巧な仕上がりでアート感覚で購入する人々も多い。「ミルクフェド」コラボでは純白な石膏とフューシャピンクの樹脂の組み合わせでインパクト大。アロマエッセンシャルオイルを垂らして使う
日本の職人が作り上げた精巧な仕上がりでアート感覚で購入する人々も多い。「ミルクフェド」コラボでは純白な石膏とフューシャピンクの樹脂の組み合わせでインパクト大。アロマエッセンシャルオイルを垂らして使う

――今回は廣川さんが2000年代前半にディレクターとしてかかわっていた古巣「ミルクフェド」とのコラボだ。今、90年代のストリートカルチャーやファッションが台頭しており、とてもタイムリーだ。

廣川:デザイナーのバージル・アブロー(「オフ-ホワイト」創設者で「ルイ・ヴィトン」メンズのアーティスティックディレクター)やキム・ジョーンズ(「ディオール」メンズと「フェンディ」ウィメンズのアーティスティックディレクター)など、90年代の原宿や日本のファッションやカルチャーに憧れ、影響を受けていたデザイナーやクリエイターがたくさんいます。コンプレックスコンやハイプフェスも盛り上がっていますし、当時から活躍していたグラフィティアート界のレジェンドといわれるFutura(フューチュラ)やスタッシュ(STASH)とコラボしたり、90年代のファッションを今の時代に表現することも増えています。そんな今のファッションシーンにリンクさせることに意義があると考え、90年代のガールズファッションカルチャーを背負ってきた代表的存在である「ミルクフェド」をコラボパートナーに迎えることにしました。

映画監督としても知られるソフィア・コッポラ(Sofia Coppola)が親友のステファニー・ハイマン(Stephanie Hayman)とカリフォルニアを拠点に「ミルクフェド」を立ち上げたのは1995年のこと。10年後にソフィアがブランドから離れているのですが、私はその最後の3年間、「ミルクフェド」に携わりました。当時のカルチャー色が強かった時代に比べて、今はベーシックアイテムにガーリーな味付けをしたシンプルでカワイイカジュアルスタイルを提供しているため、手に取りやすく、客層の幅も広くなっているようです。だからこそ、昔の「ミルクフェド」をまるっと復刻させる形で表現したら面白いと考えました。

背景にあるのは、長くソフィア・コッポラが撮りおろしていた「ミルクフェド」の過去のカタログビジュアル。当時のムードとのコントラストでアイテムを際立たせている
背景にあるのは、長くソフィア・コッポラが撮りおろしていた「ミルクフェド」の過去のカタログビジュアル。当時のムードとのコントラストでアイテムを際立たせている

――「BE@RBRICK AROMA ORNAMENT No.27 MILKFED.」のデザインや香りの特徴は?

廣川:頭の部分をブランドカラーの1つであるフューシャピンクの樹脂で作り、石膏の真っ白い世界と組み合わせました。おなかの部分のグラフィックや、ボックスの内側には、Tシャツなどのグラフィックを手がけたジェフ・マクフェトリッジ(Geoff McFetridge)の当時のグラフィックを使いました。彼はビースティ・ボーイズのレーベルから創刊された「グランド・ロイヤル・マガジン」(Grand Royal Magazine)のアートディレクターを務めたり、ソフィアの映画のグラフィックも手がけていました。その後、「エルメス」(HERMES)や「マーク・ジェイコブス」(Marc Jacobs)、「アップル」(Apple) などとも協業しており、今カルチャーやストリート界隈で活躍している人々が崇めているような人物です。「こういう使い方するよ」「こういう商品になったよ」と連絡したところ、「ベリーナイス」との返事がきました。

 肝心の香りは、ソフィアが気に入って部屋で使っているジャスミンの香りをブランドのオリジナルとして1度だけ作ったことがあったのですが、その香りを復刻しました。今のメンバーはそんな香りがあったことを知らなかったのですが、スタッフの方にも当時の「ミルクフェド」がめちゃくちゃ好きな人もいらして、「ぜひ当時のままやってください」とお願いされました。ちなみに、ソフィアがブランドを作ったのは27歳のとき。ブランド名をミルクと名付けたかったのですが、すでに日本には大御所の大川ひとみさんのさんの「ミルク」(MILK)があったため、「ミルクフェド」(MILKFED.)とし、原宿から近い代官山にお店を出店するにあたり、MILKさんを立て、お客さまに誤解を招かないようにするために、店名を天国の27丁目の意味を込めて「HEAVEN27」にしたのです。それでNo.27を採用しました。

ネオンサインには原宿店オープン時に特注したもの。当時を懐かしんでいるようなクマの背中に郷愁をそそられる
ネオンサインには原宿店オープン時に特注したもの。当時を懐かしんでいるようなクマの背中に郷愁をそそられる

――このビジュアルのネオンサインも90年代っぽさを感じさせる。

廣川:今はなき原宿の路面店をオープンしたときに作ったものを引っ張り出してきました。映画「ロスト・イン・トランスレーション」が米国で2003年、日本では2004年に封切りされたころで、ソフィアも来日してくれた想い出深いものなんです。あえて後ろ向きにしてネオンサインのほうを向かせ、昔を懐かしんでいるようなクマを表現しました。

実は「ミルクフェド」にはロゴが3つあって、それらもちりばめてみました。筆記体のアイシングロゴはソフィア本人が作ったもの。クマの足の裏に入っているステンシルと、最近人気のボックス型のバーというロゴです。

――いろいろギミックが効いている。では、今後のコラボ相手やイベントでの発売などの予定は?

廣川:詳しくは言えないのですが、「コルソ コモ」との3回目のコラボや、裏原宿系を代表するブランドなどとも協業する予定です。藤原ヒロシさんがディレクターとして入るデジタルイベントなどにも参加したいと思っています。

PROFILE:廣川由美絵/YUMIE HIROKAWA

Bibliothèque Blanche Director

ストリートファッションとハイファッションのフィールドを中心にコラボレイター、プランナー、アドバイザーとして活動。プロジェクト戦略のアドバイス・プロジェクトの実現化や空間ディレクション、ブランドディレクションなどを行っている。ライブラリーデザイン社では石膏のプロジェクトで海外のセレクトショップやアーティストなどと取り組みを進行している。

デニム業界N0.2の企業でデザイナーとしてキャリアをスタート。退職後に青山に本社があるブランドのパリコレクションチームで活動。2000年初めにビーズインターナショナルに参画(ミッドセンチュリーを代表するEamesを中心とするファニチャーブランド「STITCH」、ソフィア・コッポラ創設の「MILKFED.」所属)。その後、ピーチ・ジョンでストリートブランドやミュージシャンなど国内外の幅広いコラボプロジェクトに携わる。

<商品詳細>

BE@RBRICK AROMA ORNAMENT No.27 MILKFED.

価格:1万5,800円(税抜、国内)

フレグランスオイル:HEAVEN 27(10ml)

製造元・販売元:ライブラリーデザイン

原型製作:メディコム・トイ

BOX:BOOK 型ギフトボックス(縦 20cm× 横 15cm× 厚み 6.5cm)

全長:約12 cm

取り扱い店舗:メディコム・トイ直営店、同オンラインストア各店、Bibliothèque Blanche STACK by BALLON (GYRE B1 CIBONE内)、ライブラリーデザインofficial web site