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「無印良品」銀座旗艦店のコンセプト、想い入れ、見所をレポート 松崎社長のコメントにも注目

松下久美ファッションビジネス・ジャーナリスト、クミコム代表
世界観の体験と新たな商品・サービスの開発を目指す「無印良品 銀座」(筆者撮影)

「無印良品」の“世界旗艦店”「無印良品 銀座」が4月4日、東京・銀座の並木通りに開店する。中国の深セン、北京に続く日本初の「MUJI HOTEL」と「MUJI Diner」を併設した、「無印良品の世界観を体感できる館」だ。目指すは、「人と人」「人と自然」「人と社会」のより良い関係をつくるプラットフォームだ。店舗投資としては過去最大規模であり、年間230万人を集客する新しい「無印良品の聖地」として、世界に向けて「感じ良いくらし」を発信していく。

<コンセプト>

「ヒトとつながる」「マチをつなげる」

 銀座や世界のヒトとつながる

 銀座や世界のマチをつなげる

「銀座のマチに必要な場所でありたい。いつでも立ち寄れる公園のような場所でありたい。無印良品で働く仲間が銀座や日本、そして世界のヒトとつながり銀座のマチをつなげ、日本や世界のマチをつなげる」。

<ターゲット>

・銀座の地に世界中から訪れる人。

・銀座界隈ではたらき生活を営む人。

・「無印良品 銀座」で販売する商品を生み出す生産者など。

「この店舗にかかわる人たちがそれぞれに想いを馳せたり、実際に出会い、つながりが生まれる場となることを目指す」。

「生活者の視点で、くらしの基本として本当に必要な商品と本当に必要なサービスをそろえる」。

<数値目標>

・入館客数:年間230万人(有楽町店の190万人に比べて、20%増)

・イベント開催:年300回

・MUJI passport フォロワー:20万人(有楽町店に比べて4倍)

<MUJI HOTELのコンセプト>

「アンチゴージャス、アンチチープ」

簡素で、かつ、良質であることを基本にデザインに据える。

旅を日常の延長と考え、家にいるような癒やしやくつろぎを与える。

<企画・開発・運営体制について>

・「無印良品 銀座」(売り場面積3981平方メートル=1206坪)、「MUJI Diner」(317平方メートル=96坪)は良品計画。

・「MUJI HOTEL」(79室)と6階レストラン「WA」はデザイン会社兼ホテル運営会社のUDSと共同企画。内装設計・運営はUDS。

・「ATELIER MUJI GINZA」は共同企画、内装設計はUDS、売り場・スペースの運営は良品計画、サロン運営はUDS。

<売り場構成の特徴>

「感じ良いくらし」の実現に向けて、くらしの基本となる商品がお客さまにとってわかりやすく、わけが伝わり、買いやすい売場を実現する。

・「無印良品」の強みである素材の良さを明確に伝える集積売り場。天然素材の本来の色を中心に構成。

・衣服雑貨は服種で選びやすく。生活雑貨は「シーン」と「単品訴求」でイメージできる売り場。

・「圧倒的なボリューム」で売り込み。

・「わけ」と「価格」がお客さま視点の販促ツールで「伝わる」売り場に。

<フロアテーマと展開商品>

無印良品を体感する(7~10階):MUJI HOTEL

デザイン文化に触れる(6階):MUJI HOTELフロント、WA Japanese Restaurant、ATELIER MUJI GINZA

くらしの役に立つ(5階):ベッドルーム(寝装、家具)、収納、ハウスキーピング、MUJI SUPPORT

発見とヒント(4階):リビング・ダイニング、キッチン、家電、IDEE、Found MUJI、子ども服、MUJI BOOKS、デザイン工房、免税カウンター

毎日つかう(3階):インナーウエア、靴下、ヘルス&ビューティ、ステーショナリー、自転車

素材が伝わる(2階):ウエア、MUJI Labo、MUJI WALKER、文脈商品

くらしの基本となる食(1階):食品、青果、弁当、ブレンドティー工房、ベーカリー、ジューススタンド

生産者に想いを馳せる(B1階):MUJI Diner、Found MUJI食品

<松崎曉社長のコメント>

銀座エリアは特別な場所。事業展開を飛躍させた「無印の聖地」だ

銀座は世界の方々が多く訪れる国際都市であるだけでなく、無印良品にとって大変重要な意義を持つ街だ。銀座店の前身である有楽町の店舗は2001年11月にJR有楽町駅前にオープンした。まだわれわれの標準的な店舗の面積が150坪のときに、1000坪に挑戦したもので、初の本格的な飲食業態となる「CAFE & MEAL MUJI」や、展示スペースである「ATELIER MUJI」(アトリエムジ)(*注1)を店内に設置するなど、いろいろな取り組み、サービスによって大きな話題になった。

当時は国内の店舗数が今の半分で、海外でも認知度が非常に低かった。そんな時期にこの東京・銀座エリアに出店し好意的に迎えていただいたことは、われわれのその後の事業展開に大きな自信になった。「無印の聖地」といわれ、世界中から年間190万人が訪問。世界旗艦店としておおいに機能を発揮していたが、東京都の再開発計画によって、昨年12月2日に閉店した。

有楽町の閉店が現実化しはじめ、次のロケーションを探す中で、読売新聞東京本社と三井不動産がタッグを組んだこの銀座の読売並木ビルの新規プロジェクトと実に運命的な出合いがあった。そこから、次の世界旗艦店をつくろうとプロジェクトをスタートさせた。

ホテルの運営について情報交換していたUDSに参加いただき、世界で初となる無印良品の「MUJI HOTEL」と旗艦店である「無印良品 銀座」、そして、「MUJI Diner」(ムジダイナー)が三位一体になった店舗をここでつくっていこうとあいなった。

*注1:「ATELIER MUJI」を命名したのは、創業期からのボードメンバーであった、故・田中一光氏だ。「ここは暮らしの原点に立ち返り、未来へ進むヒントを見つける工房です。」というスローガンのもとに運営されてきた。この銀座店では、「良品計画初の複合的なデザイン文化の交差点」と位置づけ、銀座で新たに「ATELIER MUJI GINZA」として生まれ変わる。

「MUJI HOTEL」は創業時からの夢

「無印良品」は1980年にデビューした当初から、アドバイザリーボードの故・田中一光さん、小池一子さんなど、多くのメンバーが「無印良品でホテルをやったらいいね」と意見を出し合っていた。そういう意味では、ホテルをやることは「無印良品」の長い夢だった。昨年の1月に中国の深センに、6月に北京に、「MUJI HOTEL」をオープンした。おかげ様で大変好調に推移している。この銀座において、「MUJI HOTEL GINZA」も3月20日から予約を開始したが、すでに国内外から多くの予約を頂戴していて、すでにしばらくは満室の状態だ。

長年の夢である「MUJI HOTEL」を含めた「無印良品」の世界旗艦店をこの地にオープンできることは大変うれしく思っている。この地に「無印良品」「MUJI HOTEL」「MUJI Diner」が三位一体となった旗艦店をオープンできることになったのは、読売新聞東京本社と三井不動産、UDS、われわれと一緒にタッグを組んでいただく方、銀座の商店街の方、そしてなによりも、私どもの思想に共感し感銘してくださって商品を購入いただいているお客さまに、良品計画を代表して御礼を申し上げたい。

1980年にわずか40アイテムでスタートした「無印良品」は、今や7000アイテムを超え、店舗数は銀座店で世界で990店舗となる。この店舗の最大の特徴は、店舗、ホテルの環境、売り場づくり、そしてサービス、さらには接客も含めたすべてを通して無印の世界観を一堂に感じられることだ。当然われわれは食品、文具、家具なども販売しているが、新しいサービスや商品も展開することで、われわれが考える「感じ良いくらし」をさらに発展させたいと考えている。

「感じ良いくらし」とは、自然や環境、生産者に気配りや配慮をしながら、自分として生活を整えることと理解している。さらには、グローバル化が進む中で、地域の文化や伝統に大事に取り組んでいくことだと捉えている。このような、「無印良品」の思いが含まれた「無印良品 銀座」「MUJI HOTEL」「MUJI Diner」は、世界中の多くの方々、銀座に暮らす方、銀座で働く方が居心地が良い空間として利用していただくことを目指している。ぜひみなさまのご愛顧、ご支援をお願いしたい。

<筆者の注目ポイント(ホテル室内は別途)>

・麻や綿など天然素材の魅力を売り場で訴求。

・「無印良品」の端切れを再生糸として使ったTシャツなどの商品をわかりやすく表現。

・「Re MUJI」として、回収した服を日本で染め直して新たに息吹を加えて販売する一点もののコーナーも壁一面でアピール。

・「IDEE」内に、端切れ・残反、キズなどで販売できなくなった商品などを利活用して生まれ変わらせる「POOL」の商品も展開(「mina perhonen」(ミナペルフォネン)の皆川明デザイナーが監修)。

・伝統やくらしの知恵由来の商品群を「文脈商品」として提案。

・インドの伝統的織物「カディ」を使ったパンツや、祭りの法被をモチーフにしたシャツなども登場。

・古材を使った内装(2、3階など)。3階レジ後ろにはアートウォールも。使われなくなったものに新たな命を吹き込む。

・脱プラスチックを本格化、プラスチック製のショッパーを廃止し紙製に変更すると同時にエコバッグを推奨。スタッフのネームプレートも木に仕様変更。靴下や肌着をかけるフックも紙製にシフト中だ(脱プラは全店に拡大予定)。

・スタイリングアドバイザーのサービス拡充。出張ワードローブ相談サービス(2000円+交通費)もスタート

・複合的なデザイン文化の発信基地「ATELIER MUJI」、書籍やデザインチェアも配置

・サロンは深夜2時まで営業、樹齢400年の楠を使った10mのロングカウンターが印象的

・ホテルのフロント後ろの壁には、100年以上前に東京を走っていた路面電車・都電の敷石を使用。記憶をつなぐ。

・ホテルのフロントとレストラン「WA」に面した壁には、昨年12月に閉店した有楽町店の土を練り込んで、見えないところにも記憶や歴史、想いなどを積み重ねている。

・レストラン「WA」の店内壁面には古い船の鉄板を再利用。

・食品を強化。1階グランドフロアも「食マルシェ」状態。ブレンドティー工房、弁当お届けサービス、MUJI PASSPORTを通じたベーカリー&コーヒーの事前注文・待たずにピックアップサービスなども開始。

・レストラン「WA」は朝7時、「MUJI Diner」は朝7時30分から営業。旅行者やビジネスマン、近隣生活者の朝の生活を便利で豊かに。

ファッションビジネス・ジャーナリスト、クミコム代表

「日本繊維新聞」の小売り・流通記者、「WWDジャパン」の編集記者、デスク、シニアエディターとして、20年以上にわたり、ファッション企業の経営や戦略などを取材・執筆。「ザラ」「H&M」「ユニクロ」などのグローバルSPA企業や、アダストリア、ストライプインターナショナル、バロックジャパンリミテッド、マッシュホールディングスなどの国内有力企業、「ユナイテッドアローズ」「ビームス」を筆頭としたセレクトショップの他、百貨店やファッションビルも担当。TGCの愛称で知られる「東京ガールズコレクション」の特別番組では解説を担当。2017年に独立。著書に「ユニクロ進化論」(ビジネス社)。

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