ファッションECモール「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するスタートトゥデイ。前澤友作社長は27日の決算会見の直前に初めて中期3カ年計画を発表することを公表。会見場にメディアが大挙するとともに、その模様をネット配信などでチェックし、SNSで感想を挙げる人々も多くみられた。

 女優の剛力彩芽との交際が写真週刊誌にスッパ抜かれ、ツイッターで潔く交際を認めた後、初めての公の場ということでも注目を集めた。が、やはり最大の関心事は、昨年10月に発表し、今年1月から配布をスタートしたものの、納品が半年近く遅れている、伸縮センサー内蔵の体形採寸用ボディスーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」で、いつ届くのかと問い合わせが殺到していた。

初代「ZOZOSUIT」は失敗、40億円を特別損失に計上

 ふたを開けてみれば、センサー方式の「ZOZOSUIT」は失敗し、自社の子会社で開発した、スマートフォンなどで360度撮影した画像認識型の「ZOZOSUIT」へと仕様を変更したというのだ(おそらく、多くのメディアが詳報するであろうため、ここでは説明は割愛する)。これに伴い、40億円の特別損失も計上(設備投資の減損処理で約15億円、製造を委託し、後に出資もしたニュージーランドのストレッチセンス社がらみで株式評価損が約18億円、前渡金評価損が約6億円)。100%子会社化する予定だったコールオプション契約も解消した。

 この発表を聞き、「やっぱりそうか…」というのが、率直な感想だ。当初から、採寸の精度そのものや、電子製品を使っているため洗濯などに対する耐久性があるのかどうか、コスト高や大量生産の難しさなど、懸念材料は多くあった。それ以上に、技術革新により、早晩、精度の向上が著しい画像認識型にとって代わられるだろうと考えていたので、マイナスのシナリオのほうに転がってしまった。ただし、将来、医療やヘルスケアなどの分野と連携を図るなど、センサー型には将来の広がりや可能性が大きいと考えていたので、残念でもある。実質無料ということもあり、「ZOZOSUIT」の注文数はすでに100万件以上あるとのこと。新しい体験に対する期待の大きさを示す数字だった。

3年後、PB「ZOZO」売上高はユナイテッドアローズ、パルの年商を上回る2000億円を目指す

 今ではレアになった初代「ZOZOSUIT」を届けられたユーザーのうち、実際に計測したのが6割で、その5割(つまり、「ZOZOSUIT」を入手した人の3割)がプライベートブランド「ZOZO」(1月31日から発売。現在はTシャツ1200円・4色、デニムパンツ3800円・3色)を購入したという。しかも、ECの最大の課題と言われていた「サイズが合わずに返品・交換」がゼロというのは地味ながらも画期的な数字だ。これらの数値や、商品アイテムの拡充(6月にカジュアルシャツ、デニムなどを追加。近い将来、オーダーメイドのビジネススーツ、ドレスシャツ、ワンピースなども追加する)、7月からの海外販売開始なども含めて、2019年3月期のPB売上高は135億~225億円、2020年3月期には800億円、3年目となる2021年3月期には2000億円を目指すという。

 2000億円といえば、「グローバルワーク」「ローリーズファーム」「ニコアンド」などを展開するアダストリアに迫り(2018年2月期で売上高2227億円)、セレクトショップで「ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ」や「グリーンレーベルリラクシング」などを手掛けるユナイテッドアローズ(2018年3月期見込で1538億円)、「チャオパニック」や「ラシット」「スリーコインズ」などを運営するパルグループホールディングス(2018年2月期で1232億円)をはるかに凌ぐ数字だ。話半分としても、サイズ問題解消、返品撲滅、スマートファクトリーがEC業界にインパクトを与える影響は大きい。

 だが、すんなりと達成できるとは思えない。自分に最適なサイズの商品を購入するという目的のためには、センサー型でも、水玉全身タイツで自らが体を回転させながら採寸しても、大差はないのかもしれない。けれども、初代「ZOZOSUIT」のあのフューチャリスティック(未来的)ともいえる着用姿や、ハイテクを駆使している感覚とは、全く高揚感が異なるからだ。

 前澤社長は「ファッション革命を起こす」と宣言し、世界のアパレル企業トップ10の時価総額、10年以内に時価総額5兆円を目指すという。ちなみに株価は「ZOZOSUIT」を発表した10月末の終値で3380円。その後12月20日にはピークとなる3650円をつけたが、3月26日には2659円まで値を下げた。16時から発表を行った4月27日の終値は3160円だった。