財務省が2023年度予算の想定される長期金利を1.3%に引き上げる理由
財務省は30日発表した2023年度予算の概算要求で、国債の元利払いに充てる国債費を2022年度当初比2兆6493億円増の26兆9886億円とした。想定金利は1.3%と、22年度予算の1.1%から0.2%上げた(30日付日本経済新聞)。
概算要求段階での引き上げは2007年度予算で前年度を0.2%上回る2.9%として以来、2016年ぶりとなる。
日経新聞によると、米欧の利上げを受けて日本の長期金利も上昇圧力が強まっている。今回、直近1年の10年債の平均利回りに、過去の金利急騰時に経験した1.1%の上昇を加味して想定金利をはじき出したとしている。
つまり、いずれ日銀が政策修正を行う可能性も念頭に、0.25%以下にする日銀の長期金利コントロールを解除する可能性も想定したものということになる。
日本でも物価上昇圧力が強まってきており、いつまでも非常時対応の金融緩和を続けるわけにはいかなくなると考えるのが当然であろう。
金利1%上昇で国債費3.7兆円上振れといった試算が報じられることがあるが、これは現在の0.25%以下に抑えられている長期金利が1%台に上昇したらという試算ではない。2023年度予算であれば想定金利の1.3%から2.3%に1%上昇したらという試算である点に注意も必要となる。
もう一つ注意すべきは、もし仮に想定金利まで長期金利が上昇した際には、これまで想定金利に届かなかった分の国債費分を使うことができなくなってしまうことである。
過去の補正予算編成時などで、カレンダーベースの国債増発がなかった際には、税収上振れとともにこの分の一部を回すことができた。しかし、その余裕分が消失すると、補正予算編成時などでのカレンダーベースでの国債増発となる可能性が出てくることになる。