参院選後に再び円安が加速、ドル円は再び137円台と24年ぶりの円安ドル高に
11日のニューヨーク外国為替市場で円相場は大幅に続落し、一時は137円75銭と1998年9月以来、24年ぶりの円安水準をつけた。
ドル円は6月29日に137円近辺まで上昇(円安ドル高)となってからは、いったん上値が重くなった。これには米長期金利の動向も影響していた。
6月14日に米10年債利回りは一時3.49%と2011年4月以来の水準に上昇した。15日のFOMCでは0.75%という大幅な利上げが予想されていたためである。実際に15日のFOMCでは、市場の想定通り通常の3倍にあたる0.75%の利上げを決めた。
そして、ECBは15日に臨時会合を開催し、南欧などの国債価格急落の抑止策を決めた。こちらはイタリアなど周辺諸国の国債利回りの上昇抑制策といえるものである。
欧州の国債利回りの抑制の動き、さらに市場では焦点が利上げからリセッションの可能性に移ったこともあり、米債は予想で売って事実で買うといった動きも入って買い戻された。つまり米長期金利の上昇はいったんピークアウトしたのである。
ドル円は日米の利回り格差だけで動くものではない。しかし、それでも利回りの格差を意識した売買が入りやすいことも確かである。日本では長期金利が0.25%に固定されてしまっているので、日米長期金利の差は米長期金利の居所で決まる。
このため、ドル円も次上値が抑えられた。それでも135円近辺が抵抗線となり、大きな下落もなかった。
米長期金利は7月5日に2.8%割れとなった、ここが今度は目先のボトムとなった。7月8日に発表された米雇用統計、非農業雇用者数は前月比37.2万人増と予想を上回り、平均時給も予想を小幅に上回り、今月のFOMCでの0.75%の利上げ観測が強まり、米10年債利回りは3.08%と3%台を回復した。
この米長期金利の上昇に加え、日銀の政策修正への思惑も加わって、11日のドル円は再び137円近辺に上昇してきたのである。ユーロや英ポンドなどに対するドル高が進み、対円でのドル買いにつながった側面もあった。
日銀の政策修正には参院選の結果も踏まえ、岸田政権がどのような対応を示すのかがカギとなり、それは現状はっきりしない。しかし、日銀のイールドカーブコントロールは、かなり無理があるのは明白であり、海外投資家などの仕掛け的な動きを誘い込みやすくなっている。
今後、急速な円安を防ぐには、欧米のように利上げを急ぐ必要はないが、少なくとも日銀の金融政策の柔軟化が必要なものとなる。反対側にも動けるということを示すだけでも思惑的な動きにブレーキは掛けられるはずである。