石炭、天然ガスの価格が高騰し原油価格も節目を抜く、世界的なエネルギー価格の上昇によるインフレ懸念も
石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国でつくるOPECプラスが、協調減産を毎月日量40万バレルずつ縮小する従来方針を11月も維持すると確認。原油高とインフレを懸念する消費国から一層の減産縮小を求める声があったが、見送った。
ニューヨーク市場のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物はこのOPECプラスの決定を受け、一時1バレル78ドル台と前週末比3%上昇し、2014年11月以来の高値となった(4日付日本経済新聞)。
欧州では気候変動対策が進んだあまり、コロナ禍からの経済の回復と天候不純などが重なって、エネルギー危機を招くような状況となってしまっており、欧州連合(EU)域内では電気料金が上昇している。
英国のガソリンスタンドでは手持ちの在庫がなくなるなどしている。
中国では、製造業の回復に伴う電力消費に対する石炭の供給不足で、各地で停電が続いている。このため、中国はエネルギー使用に制限を課している。
インドでも経済活動が再開し産業界向けの電力需要が急増、石炭火力発電所の半数以上で燃料の在庫がなくなりつつある。インドでは電源構成に占める石炭火力発電の割合が約7割にのぼるとされる。
このような動きからコモディティー市場では天然ガス、石炭の価格が高騰している。そして、OPECプラス会議をきっかけとして、原油先物もなかなか抜けなかった上値の節目を抜いてきた。
4日のWTI先物は一時79.38ドルまで上昇し、直近高値であるところの2018年につけた77ドル41セントを抜けてきた。次の節目は100ドルとなる。
仕掛け的な動きというより、経済活動の再開に伴う世界的なエネルギー需要の拡大が背景にあることで、原油先物価格はさらに上昇してくる可能性も高い。これ受けて世界的に物価上昇圧力が強まることも予想される。
日本でも企業物価指数などに影響を与え、欧米では物価の高止まりが続くことも予想される。このため、欧米の中央銀行が金融政策の正常化を急ぐこともありうるか。