米ナスダック上場企業マイクロストラテジー社(業務はビジネスデータ管理・分析サービス)は7日、4億ドル相当のビットコインの追加購入を行う計画を発表した。しかし、当初計画していた4億ドルではなく、追加購入金額を5億ドルに引き上げたとか。

 マイクロストラテジー社はビットコインの追加購入の原資を社債の発行によって行うことにしていた。そのビットコイン買い増しを目的とする担保付きジャンク債(投機的格付け債)について、多くのヘッジファンドが関心を寄せ、約16億ドル相当の応募があったそうである。このため追加購入の額を4億ドルから5億ドルに引き上げた。

 7日の募集開始までに旺盛な需要が確認され、事情に詳しい関係者によると、発行利回りは、仮条件(6.25ー6.5%)を下回る6.125%に設定されたとか(9日付ブルームバーグ)。

 リスクの大きなジャンク債だけに6%を上回る利回りが設定されたわけだが、この社債の購入者はビットコインを直接購入するのと同じリスクを負うことになる。

 ここにきてビットコインの価格は再び下落基調となっている。米パイプラインのサイバー攻撃の身代金支払いでビットコインが使われたが、これをFRBなどの米当局が奪還に成功した。ビットコインはその匿名性や資金の流れの見えにくさにより犯罪の隠れ蓑にも使われていたが、FBIのポール・アバテ副長官が「どこに不正な資金を隠そうと、FBIの手の届かない場所はない」と語ったように、ビットコインなど暗号資産は隠れ蓑にならないことを示した。

 これによって不正に暗号資産を保有する人たちに動揺を与えたとみられ、今後換金売りが出る可能性も高い。匿名性や資金の流れの見えにくさなどに未来の通貨を夢見ていた人に疑問を投げかけることにもなろう。さらに米政府が奪還したビットコインは現金化しなければ身代金として支払った金額を補完できない。

 もしビットコインの価格が最高値からの半値を下回るようなことになれば、いわゆるチャートを意識したテクニカルの売りも入りやすい。価格上昇を期待してビットコインなどを買っていた投機家も多いとみられ、価格の下落はその投機家を不安にさせかねない。

 このようにビットコインを巡る現在の状況は決して良いとは言えないなか、16億ドルものマイクロストラテジー社のジャンク債への応募があったというのはある意味驚きであった。

 マイクロストラテジー社が5億ドルも追加購入することで価格下落を防げると考えたのかもしれないが、不安は大きいはずである。しかもマイクロストラテジー社によるビットコインのいわゆるナンピン買いはリスクを倍加させるだけである。

 それでもジャンク債を買いたいというヘッジファンドたちは少しでも利回りを求め、さらに仮想通貨の未来に期待したものであったのか。しかし、これもやはりバブルを示すものにしか私には見えないのであるが。