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日銀の資金循環統計より、12月末の日本国債の保有者。個人の金融資産は過去最高額に

久保田博幸金融アナリスト
(写真:cap10hk/イメージマート)

 日銀は3月17日に資金循環統計(2020年10~12月期速報値)を発表した。これによると個人の金融資産は9月末時点で約1948兆円となり、過去最高となった。また、民間企業の金融資産も約1275兆円とこちらも過去最高となっていた。

 個人の金融資産の内訳は、現金・預金が前年比で4.8%増の約1056兆円となり、過去最高に。株式等は同0.7%増の約198兆円、投資信託は同5.1%増の約78兆円となっていた。

 この資金循環統計を基に国債(短期債除く)の保有者別の内訳を算出してみた。

 残高トップの日銀の国債保有残高は504兆2757億円、48.3%のシェアとなった。前期比(速報値)からは7兆2367億円もの増加となり、500兆円を超えた。残高2位の保険・年金基金は250兆898億円(24.0%)、6365億円増。残高3位は預金取扱機関(都銀や地銀など)で129兆7225億円(12.4%)、1兆2789億円増。残高4位が海外投資家で75兆385億円(7.2%)、913億円減。残高5位が公的年金の36兆2912億円(3.5%)、8471億円増。残高6位が家計の13兆4140億円(1.3%)、495億円減。その他が34兆2396億円(3.3%)、1兆7775億円減となっていた。

 2020年9月末に比べ国債(短期債除く)の残高は8兆809億円増の1043兆713億円となった。(こちらの国債残高は時価ベース)。

 9月末に比べて海外と個人が小幅減、その他も減少していたが、日銀を始め保険・年金、預金取扱機関、公的年金などは残高を増加させた。

 昨年7月からは第二次補正予算をうけて、国債発行額が大きく増額された。しかし、債券市場ではこれによって売られるようなことはなかった。景気の悪化や物価の低迷による金利の低下圧力もあるが、日銀の国債買い入れと長期金利コントロールも意識されたとみられる。ただし、10年債利回りはゼロ%が下値抵抗線となっていた。債券相場そのものは10月~12月にかけて方向感に乏しい展開となっていた。

 短期債を含めた国債全体の数字でみると9月末の残高は約1220兆円。このうち日銀が約545兆円で44.7%のシェアに。海外勢の残高は約163兆円と短期債を含めると国債全体の13.3%のシェアとなっていた。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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