新型コロナウイルスの感染拡大を受け税収下振れ、さらなる財政悪化は避けられず
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国の2019年度の税収が2年ぶりに60兆円を割り込む見通しだと18日付けの日経新聞が報じた。
政府は2019年度の税収を当初は62兆4950億円と見積もっていた。昨年12月に補正予算を編成した際には、米中貿易摩擦などの影響を勘案して60兆1800億円に下方修正していた。
さらに年度末にかけては新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、経済活動に急ブレーキが掛かり、最終的に50兆円台後半になる見込みとされている。3月の株式市場や国債市場が大荒れとなっていたが、金融市場だけでなく実態経済も大きな影響を受けていた。
さらに政府は資金繰り支援のために納税を猶予する措置を導入していた。2月以降の任意の期間(1か月以上)で収入が前年同期比2割以上減った企業の支払いを1年間、猶予する。21年1月31日までに期限が来る消費税や所得税、法人税などほぼすべてを対象とする。3月期決算企業の場合、5月末までに納税した分は2019年度の税収に加わることで、猶予を利用すると2019年度の税収が減る(18日付日経新聞)。
4月には緊急事態宣言が出され、これによる人や物の移動制限などにより。経済活動がほぼ停止状態となった。これを受けて、過去最大級ともされるような景気の落ち込みを記録した。これは当然ながら税収にも影響を与えることが予想される。
今後の景気回復への期待も残るものの、それでも税収のさらなる落ち込みは避けられないと思われる。政府は今年度の税収として約63兆5130億円を見込んでいるが、これが50兆円台前半へと下振れするとの見方もある。
過去最大級の第二次補正予算の編成もあり、今年度の財政支出はかなり大規模なものとなっている。歳出が大きくなるとともに、歳入は減少が予想されるとなれば、その穴埋めのため国債を発行せざるを得ない。これによりさらに日本の財政は悪化が見込まれる。
格付け会社の格下げなども予想されるが、それでも当面は国債市場に大きな動揺が起きることは考えづらい。しかし、その背景には日銀による国債買い入れや長期金利操作がある。これは財政ファイナンスと見えなくもないことで、動揺は表面化せずとも、水面下ではリスクが意識されてくることも予想される。