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2月の国債投資家別売買高、海外投資家は買い越しに転じる

久保田博幸金融アナリスト
日本証券業協会のデータを基に著者が作成

 3月20日に発表された2月の公社債投資家別売買高によると短期債を除いた数値で、都銀は8099億円の買い越しとなった。1月の2兆3756億円の買越額に比べると買越額は減少した。国債の投資家別売買高をみると都銀は、中期を1兆1283億円買い越していたが、長期は1789億円の売り越しに転じ、超長期も1284億円の売り越しとなっていた。2月の債券は反発しており、長いゾーンには利食い売りを入れてきたとみられる。

 これに対して海外投資家は2月は9769億円の買い越しとなり、1月の2377億円の売り越しから、再び買い越しに転じた。海外投資家の短期債を除いたものとしての1月の売り越しは2014年6月以来となっていたが、一時的な売り越しとなっていたのかどうかは今のところ判断しにくいところ。海外投資家は2月に中期債を6247億円買い越し、長期債を391億円買い越し、超長期債を1547億円の買い越しとなっていた。

 「その他」は2兆2128億円の売り越しとなり、1月の2兆2640億円と同様に2兆円を超す大幅売り越しとなっていた。12月の1兆8917億円、11月の2兆5746億円の売り越しに続いて、大量売り越しが継続している。今回は中期債を1兆円以上売り越している。「その他」は主に政府関係機関であり、ゆうちょ銀行やかんぽ生命も含まれており、金額からみて、ゆうちょ銀行による売り越しとみられる。

 債券相場は1月の下落基調から、2月は回復基調となっていた。2月5日にダウ平均は1175ドル安となって過去最大の下げ幅を記録した。米株はボラティリティが低い状態で長らく上昇基調が継続しており、これはゴルディロックス相場(適温相場)とも呼ばれていたが、その反動が起きた。日本の株式市場も動揺し、日本の債券はリスク回避のような動きともなって上昇基調となっていた。また、海外投資家の売りが一巡したことで、押し目買いが入ったものと思われる。

 公社債投資家別売買状況の下記データは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 -8099(1284、1789、-11283)

地方銀行 4936(828、3259、-30)

信託銀行 -519(-2069、917、-111)

農林系金融機関 -1293(-667、198、12)

第二地銀協加盟行 910(463、251、0)

信用金庫 3543(1952、1304、30)

その他金融機関 -566(246、377、-197)

生保・損保 -3833(-3932、598、-326)

投資信託 -207(-943、253、558)

官公庁共済組合 114(165、-52、79)

事業法人 -566(22、-232、1)

その他法人 -358(-7、-2、152)

外国人 -9769(-1547、-391、-6247)

個人 198(1、22、2)

その他 22128(7090、3069、14658)

債券ディーラー -87(67、-177、90)

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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