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FRBは年内3回目の利上げを決定、来年も同ペースか

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 12月12、13日に開催されたFOMCにおいて、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.25~1.50%に0.25%引き上げることを7対2の賛成多数で決定した。シカゴ連銀のエバンズ総裁とミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は利上げに反対票を投じた。引き締めに反対する票が2票入ったのは1966年12月以来であるとか。ただし、これでFRBの正常化路線にブレーキが掛かったというわけではない。

 会合参加者(16人)が今後の金融政策見通しをそれぞれ提示したものによると、2018年の利上げペースは年3回が中心シナリオとなった。市場では年4回程度のペースとなるのではとの観測もあったようであるが、メインシナリオの年3回が維持された。

 FOMC後に公表した声明文では、米経済については、底堅いペースで拡大が続いているとし、また、先行きの見通しについても変化はなかった。

 今回の会合では議長会見が予定されていたが、パウエル理事が上院本会議で指名承認されれば、FOMC後の会見としてはイエレン議長にとって最後の会見となる。ここでは、やはりビットコインに関する質問が出たようで、ビットコインは「極めて投機的な資産」であり、「法定通貨としての性質を持たない」との見解を示した。これが中央銀行の立場としてのビットコインに対する共通の認識かとみられる。

 またイエレン議長は「これまで通り、今後数年で物価は上昇し、インフレ率は2%程度で安定すると信じている」と述べていた。しかし、一方で「物価上昇に働く力について、我々の理解は完璧ではない」とも述べた。

 13日に発表された11月の米国の消費者物価指数は前月比0.4%の上昇と、前月の0.1%上昇から伸び率が拡大した。しかし、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は前月比0.1%の上昇となり10月の0.2%上昇から伸び率が縮小。前年同月比は1.7%の上昇と、10月の1.8%上昇から減速し、2%に届かない状況が継続している。

 来年のFRBによる利上げに関しては、あくまで3回の予定(予想?)であり、状況次第では変化しうる。しかし、物価が2%に届かないことはこれまで通り、大きな障害とはならないとみている。余程大きな不透明材料でも出ない限りは、FRBは正常化の歩みを進めてくるものと予想される。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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