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9月の債券、海外投資家は押し目買い

久保田博幸金融アナリスト
日本証券業協会のデータを基に作成

 20日に発表された9月の公社債投資家別売買高によると、都銀は1兆1532億円の売り越しとなり、それに対して海外投資家は2兆4042億円の買い越しとなっていた。海外投資家は6月、7月と買い越し額は1兆円を割り込んでいたが、8月は3兆円近くの買い越しとなっており、9月はそれよりは買い越し額は縮小していたとはいえ、存在感を示した格好となった。

 8月の都銀は小幅買い越しとなっていたが、9月は1兆円を越す売り越しとなり、同時に発表された国債の投資家別売買高をみると中期ゾーンを9050億円、 超長期ゾーンを2357億円売り越していた。これに対して海外投資家は中期ゾーンを1兆8317億円、長期ゾーンを4557億円買い越していた。

 公社債投資家別売買状況の下記データは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高

注意、マイナスが買い越し

単位・億円

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 11532(2357、816、9050)

地方銀行 -35(674、-231、850)

信託銀行 -4208(-2913、1061、-1079)

農林系金融機関 -2722(-2512、284、20)

第二地銀協加盟行 312(364、-114、0)

信用金庫 -1643(-562、306、40)

その他金融機関 -1366(-259、-218、60)

生保・損保 -4227(-3647、41、14)

投資信託 -477(151、306、-430)

官公庁共済組合 -262(-212、2、0)

事業法人 -473(-57、1、0)

その他法人 -925(-188、-39、90)

外国人 -24042(-967、-4557、-18317)

個人 241(-34、26、4)

その他 18967(7153、-5340、21058)

債券ディーラー 415(-5、931、-460)

 9月の全体の国債売買高は201兆円程度となり、6月の212兆円以来の200兆円台を回復した。中期ゾーンの売買高は7月に35兆円程度と一時的に落ち込んでいたが、8月、9月と50兆円台を回復させている。

 9月の債券相場は米債が年内利上げ観測の強まりなどから下落トレンドとなり、円債も同様に下落した。この間に都銀などは利益確定売りを急いだようだが、海外投資家はしっかり押し目買いを入れていたようである。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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