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3月末に日銀の日本国債保有シェアは4割に膨れ、銀行の保有額は大きく減少

久保田博幸金融アナリスト
日銀の資金循環統計のデータを基に作成

日銀は6月27日に資金循環統計(1~3月期速報値)を発表した。これによると個人の金融資産は3月末時点で約1809兆円ととなった。12月末時点では約1815兆円となっていた(改定値)。

個人の金融資産の内訳は、現金・預金が「前年比」で2.3%増の約932兆円となった。株式等が同7.9%増の約181兆円、投資信託も7.2%増の約99兆円となっていた。

この資金循環統計を基に国債(短期債除く)の保有者別の内訳を算出してみた。残高トップの日銀の国債保有残高は386兆7756億円、40.0%のシェアとなった。前期比(速報値)からは15兆9503億円の増加。残高2位の保険・年金基金は233兆9974億円(24.2%)、2兆4694億円。残高3位は預金取扱機関(都銀や地銀など)で190兆174億円(19.6%)、13兆5640億円。4位が海外投資家で56兆5684億円(5.8%)、3兆4680億円。5位が公的年金の49兆138億円(5.1%)、2022億円。6位が家計の12兆5263億円(1.3%)、2020億円。その他が38兆7490億円(4.0%)、6兆5862億円となっていた。

2016年12月末(確報値)に比べ、国債(短期債除く)の残高は9兆5669億円減少し、967兆6479億円となった。

12月末(確報値)に比べて大きく増加したのは、国債を買い入れている日銀でシェアは4割となった。今回前期比で増加したのは、ほかに「海外」と「その他」となっていた。

もう少し細かい区分けで見てみると、12月末に比べて大きく減少したのは国内銀行で約8兆円の減少となった。中小企業金融機関等(ゆうちょ銀行含む)も約5兆円減、企業年金の1兆円減となっていたのに対し、ディーラー・ブローカーは4兆円程度増となっていた。

短期債を含めた国債全体の数字でみると残高は約1083兆円となり、日銀が約427兆円で39.5%のシェアとなっていた。そして海外勢の残高は約116兆円と短期債を含めると国債全体の10.8%のシェアとなっていた。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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