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9月末の国債保有残高は日銀が首位に

久保田博幸金融アナリスト
日銀の資金循環統計の数字を基に作成

12月17日に日銀は2015年7~9月期の資金循環統計(速報)を発表した。これによると9月末の家計の金融資産は1683兆8135億円と6月末の1717億5387億円(確報)を下回った。前回を下回るのは1年半ぶりとなる。

資金循環統計を基に2015年9月末時点の国債保有者別の残高と全体に占める割合を算出してみた。ただし、下記は国庫短期証券を含んだものではなく、国債・財融債のみの数値を個別に自分で集計し直したものである。

9月末の国債(国債・財融債のみ、国庫短期証券を除く)の残高は898兆4759億円となった。国庫短期証券を加えると9月末の国債の残高は約1040兆円となる。日銀の資金循環統計の数値は額面ベースではなく「時価ベース」となっている点に注意いただきたい(財務省の国債残高などは額面ベースが多い)。

日本銀行 268兆2810億円、29.9%

民間預金取扱機関 245兆7416億円、27.4%

民間の保険・年金 232兆6832億円、25.9%

公的年金 52兆3086億円、5.8%

海外 45兆7410億円、5.1%

投信など金融仲介機関 26兆4096億円、2.9%

家計 14兆4707億円、1.6%

財政融資資金 17億円、0.0%

その他 12兆8385億円、1.4%

6月末に比べて、大きく残高が増加していたのは日銀である。6月末比で20兆円を超える増加となっている。上記の区分では初めて日銀の残高が首位になった。

民間預金取扱機関のうち国内銀行(都銀・地銀)が4兆程度の減少、中小企業金融機関等が10兆円程度の減少となっていた。今回もゆうちょ銀行の減少分が大きかったのではないかとみられる。公的年金は小幅減少となった。

海外投資家は4兆円程度の増加となった。海外投資家の長期国債のシェアは5.1%。国庫短期証券を含んだ数字で見ると全体の9.8%のシェアとなっている。日銀は国庫短期証券を含んだシェアは30.3%となっており、国債全体の3割を越す保有となった。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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