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ギリシャのバルファキス新財務相が人気

久保田博幸金融アナリスト

型破りなファッションの財務相といえば、麻生財務相とのイメージであったが、強力なライバルが出現した。日本時間の12日未明からベルギーのブリュッセルでユーロ圏の財務相会議が開かれ、先月誕生したギリシャの新政権のバルファキス財務相が初めて参加した。その欧州各国との交渉に挑むギリシャのバルファキス財務相が、強気な発言だけでなく、型破りなファッションで注目を浴びているそうである。

「男性的な魅力が漂う」として、ドイツで大人気となっているとか。ドイツのシュテルン誌は「古典的な男性らしさ」と称える記事を掲載し、バルファキス氏は「黒の大型バイクを乗り回し、シャツの裾をズボンに入れず、ギリシャ彫刻でしか見られない古典的な男らしさを振りまいている」と書いてあるそうである(毎日新聞)。

新たなカリスマ性を持った政治家が登場したようである。もちろんルックスやファッションにより、ECとギリシャの合意がスムーズに行くというものではないが、ドイツの反響などをみると、ギリシャの新政権はユーロ圏にとって、ビジュアル的には好意的にみられている可能性がある。

もちろん今回のギリシャとECの交渉はかなり困難を極めることが予想される。先月誕生したギリシャの新政権にとって、国民の期待を裏切るわけにはいかず、その代わり国民もユーロ離脱との選択肢は当然とりづらい。ギリシャにとりユーロに加盟していることで、かなりの恩恵も被っていたはずであり、だからこそ何が何でもユーロ圏に残るために、財政悪化まで隠してしまい、それが裏目に出てユーロの信用不安を招いてしまった。

ギリシャ新政権にとり、安易な妥協は許されないものの、落としどころを探り、なるべく有利な格好で支援策を取りまとめたいところであろう。そのあたりは緊縮策が必要だとするユーロ圏各国も当然、理解しているはずである。ただし、緊縮策そのものについては譲れないところでもある。現在のユーロの安定は加盟各国の財政の健全化が大前提となっており、ユーロにとどまる限りはこの前提を崩すことき許されないはずである。双方がある程度譲り合い、時間をかけての緊縮策といったような条件の緩和も必要となってくるのではないかと思われる。

今後はいろいろな意味でギリシャのバルファキス財務相が脚光を浴びることになるのかもしれない。すでにバルファキス財務相による、ギリシャがユーロ圏を離脱すれば他の国が追随し、ユーロ圏は崩壊するとのかなり過激とも言える発言も注目されている。ケンブリッジ大学で経済学の教授をしていた経歴があり、ゲーム理論の専門家でもあるバルファキス財務相にとり、このような政策ゲームも得意分野なのかもしれない。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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