藤井聡太竜王（２１）＝名人・王位・叡王・棋王・王将・棋聖への挑戦権を争う第３６期竜王戦（読売新聞社主催）は７月３１日、東京都渋谷区「将棋会館」で永瀬拓矢王座（３０）と伊藤匠六段（２０）の挑戦者決定三番勝負第１局が行われる。データを基に勝敗と展開を予想してみた。

２０歳の伊藤六段に勢い

＜永瀬王座の最近１０局＞（未放映のテレビ対局を除く）

４月１６日　ヒューリック杯棋聖戦本戦

対広瀬章人八段　○

４月２０日　ヒューリック杯棋聖戦本戦

対佐々木勇気八段　○

４月２４日　ヒューリック杯棋聖戦挑戦者決定戦

対佐々木大地七段　●

５月２日　伊藤園お～いお茶杯王位戦リーグ紅組

対羽生善治九段　○

５月８日　伊藤園お～いお茶杯王位戦リーグ紅組

対石井健太郎六段　●

５月２６日　竜王戦１組出場者決定戦

対木村一基九段　○

６月２２日　順位戦Ａ級

対菅井竜也八段　●

７月１３日　竜王戦決勝トーナメント

対豊島将之九段　○

７月２１日　竜王戦決勝トーナメント

対羽生九段　○

７月２７日　順位戦Ａ級

対佐藤天彦九段　○

＜伊藤六段の最近１０局＞

６月１３日　順位戦Ｃ級１組

対出口若武六段　●

６月２７日　竜王戦決勝トーナメント

対出口六段　○

６月３０日　竜王戦決勝トーナメント

対大石直嗣七段　○

７月５日　竜王戦決勝トーナメント

対広瀬章人八段　○

７月１１日　順位戦Ｃ級１組

対西尾明七段　○

７月１４日　竜王戦決勝トーナメント

対丸山忠久九段　○

７月１９日　叡王戦予選

対黒沢怜生六段　○

７月１９日　叡王戦

対高野智史六段　○

７月２４日　朝日杯将棋オープン戦１次予選

対片上大輔七段　○

７月２７日　竜王戦決勝トーナメント

対稲葉陽八段　○

　両者の直近１０局は永瀬王座がトップ棋士との対戦が続くなか７勝３敗と好調を維持しているが、伊藤六段は９勝１敗で９連勝中と、その上を行く絶好調で勢いがある。

　実績ではタイトル戦経験豊富な永瀬王座が圧倒しているけれども、調子の比較では伊藤六段が優位だ。

戦型は角換わりと相掛かり中心か

　これまでの両者の対戦成績は伊藤六段の２勝０敗。戦型は永瀬王座先手の場合角換わりを中心にした選択が予想され、伊藤六段先手の場合は過去２戦ともに先手番で勝利している得意の相掛かりを志向するだろう。ただし永瀬王座が後手で横歩取りや雁木などの「変化球」を用いる可能性もあるとみる。

　各種データを総合すると三番勝負は若さと勢いにまさる伊藤六段やや有利と見る。