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藤井棋聖4連覇か、佐々木七段初タイトルか――第94期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負展望

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
昨年、3連覇を達成した直後の藤井聡太棋聖(筆者撮影)

 藤井聡太棋聖(20)=竜王・名人・王位・叡王・棋王・王将に佐々木大地七段(28)が挑戦する第94期ヒューリック杯棋聖戦(産経新聞社主催)五番勝負は6月5日第1局がベトナム「ダナン三日月」で行われる。

 藤井棋聖は最年少で七冠を達成したばかり。挑戦者の佐々木七段はタイトル戦番勝負初登場だが、王位戦でも挑戦を決めるなど勢いに乗っている。データを基に勝敗と展開を予想してみた。

<ヒューリック杯棋聖戦五番勝負日程>

第1局 6月5日 ベトナム「ダナン三日月」

第2局 6月23日 兵庫県洲本市「ホテル ニューアワジ」

第3局 7月3日 静岡県沼津市「沼津御用邸東附属邸第1学問所」

第4局 7月18日 新潟県西蒲区「高志の宿 高島屋」

第5局 8月1日 愛知県名古屋市「亀岳林 万松寺」

藤井棋聖は過密スケジュールが懸念材料

<藤井棋聖の最近10局>(相手の肩書は対局当時)

4月5、6日 名人戦七番勝負第1局

対渡辺明名人 ○

4月11日 叡王戦五番勝負第1局

対菅井竜也八段 ○

4月23日 叡王戦五番勝負第2局

対菅井八段 ●

4月27、28日 名人戦七番勝負第2局

対渡辺名人 ○

5月6日 叡王戦五番勝負第3局

対菅井八段 ○

5月10日 王座戦本戦

対中川大輔八段 ○

5月13、14日 名人戦七番勝負第3局

対渡辺名人 ●

5月21、22日 名人戦七番勝負第4局

対渡辺名人 ○

5月28日 叡王戦五番勝負第4局

対菅井八段 ○(2千日手)

5月31日、6月1日 名人戦七番勝負第5局

対渡辺名人 ○

<佐々木七段の最近10局>(相手の肩書は対局当時)

4月13日 棋王戦コナミグループ杯予選

対阿部健治郎七段 ○

4月18日 伊藤園お~いお茶杯王位戦リーグ白組

対増田康宏七段 ○

4月20日 ヒューリック杯棋聖戦本戦準決勝

対渡辺明名人 ○

4月24日 ヒューリック杯棋聖戦挑戦者決定戦

対永瀬拓矢王座 ○

4月28日 ALSOK杯王将戦1次予選

対高野智史六段 ●

5月1日 棋王戦コナミグループ杯予選

対杉本和陽五段 ○

5月8日 伊藤園お~いお茶杯王位戦リーグ白組

対池永天志五段 ○

5月18日 伊藤園お~いお茶杯王位戦挑戦者決定戦

対羽生善治九段 ○

5月22日 棋王戦コナミグループ杯予選

対谷合廣紀四段 ○

5月31日 竜王戦4組昇級者決定戦

対高崎一生七段 ○

 藤井棋聖はタイトル戦続きで難敵ばかりとの戦いだが、直近10局は8勝2敗と変わらず順調だ。

 佐々木七段は絶好調で今年度の成績は11勝1敗と全棋士中トップ、直近10局も9勝1敗。実績では藤井棋聖が圧倒的だが、調子と勢いの面ではやや挑戦者がまさると思われる。

 また、藤井棋聖にとって気になるのは名人戦、叡王戦と全国各地の移動を伴うタイトル戦のあと、さらに海外対局を伴う本シリーズが続いて過密スケジュールになっていること。20歳の若さであっても疲労の蓄積が読みの精度に影響しないとは言い切れない。

 挑戦者が先行する流れになれば五番勝負は接戦が期待される。

相居飛車の相掛かりと角換わり中心か

 直接対決は過去4戦して2勝2敗の五分でどの将棋も相掛かりに進んでいる。

 戦型は両者とも居飛車党で、佐々木七段は先手番では得意の相掛かりを目指すと思われる。藤井棋聖は相手の得意形を避けない棋風だが、名人戦でも用いた雁木に変化する可能性もわずかにあるだろう。

 藤井棋聖の先手番では直近の採用率からは角換わりを志向すると思われるが、佐々木七段も変化をしない棋風なので、最先端の角換わりが見られる可能性が高そうだ。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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