渡辺名人追いつくか、藤井竜王突き放すか――第81期名人戦七番勝負第4局展望
渡辺明名人(39)に藤井聡太竜王(20)=王位・叡王・棋王・王将・棋聖が挑戦する第81期名人戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)七番勝負は第3局までを終え2勝1敗と藤井竜王がリードしている。第4局は5月21、22日に福岡県飯塚市「麻生大浦荘」で行われる。
開幕から2連勝で藤井竜王が初の名人獲得と最年少七冠の大記録達成に前進したように見えたが、渡辺名人は第3局で接戦を制し踏みとどまった。
七番勝負の流れを決める第4局の勝敗と展開を、データを基に予想してみた。
<第81期名人戦七番勝負これまでの勝敗と日程>
第1局 4月5、6日 東京都文京区「ホテル椿山荘東京」
藤井竜王(後手)勝ち
第2局 4月27、28日 静岡県静岡市「浮月楼」
藤井竜王(先手)勝ち
第3局 5月13、14日 大阪府高槻市「高槻城公園芸術文化劇場」
渡辺名人(先手)勝ち
第4局 5月21、22日 福岡県飯塚市「麻生大浦荘」
第5局 5月31、6月1日 長野県上高井郡「緑霞山宿 藤井荘」
第6局 6月13、14日 山梨県甲府市「常磐ホテル」
第7局 6月27、28日 山形県天童市「天童ホテル」
渡辺名人に復調のきざし
<渡辺名人の最近10局>
3月19日 棋王戦コナミグループ杯五番勝負第4局
対藤井竜王 ●
4月1日 ヒューリック杯棋聖戦本戦
対羽生善治九段 ○
4月5、6日 名人戦七番勝負第1局
対藤井竜王 ●
4月10日 伊藤園お~いお茶杯王位戦リーグ白組
対佐々木大地七段 ●
4月14日 竜王戦1組出場者決定戦
対広瀬章人八段 ●
4月20日 ヒューリック杯棋聖戦本戦
対佐々木七段 ●
4月27、28日 名人戦七番勝負第2局
対藤井竜王 ●
5月2日 伊藤園お~いお茶杯王位戦リーグ白組
対増田康宏六段 ○
5月8日 伊藤園お~いお茶杯王位戦リーグ白組
対冨田誠也四段 ○
5月13、14日 名人戦七番勝負第3局
対藤井竜王 ○
<藤井竜王の最近10局>(相手の肩書は対局当時)
3月8日 順位戦A級プレーオフ
対広瀬章人八段 ○
3月11、12日 ALSOK杯王将戦七番勝負第6局
対羽生善治九段 ○
3月19日 棋王戦コナミグループ杯五番勝負第4局
対渡辺棋王 ○
4月5、6日 名人戦七番勝負第1局
対渡辺名人 ○
4月11日 叡王戦五番勝負第1局
対菅井竜也八段 ○
4月23日 叡王戦五番勝負第2局
対菅井八段 ●
4月27、28日 名人戦七番勝負第2局
対渡辺名人 ○
5月6日 叡王戦五番勝負第3局
対菅井八段 ○
5月10日 王座戦本戦
対中川大輔八段 ○
5月13、14日 名人戦七番勝負第3局
対渡辺名人 ●
渡辺名人は春の棋王戦五番勝負あたりから黒星が先行する厳しい状況だったが、5月に入って3連勝と視界が開けてきた。藤井竜王との2日制番勝負での連敗も6でストップし、完全復活まであと一息といった感じだ。
一方の藤井竜王は直近10局8勝2敗と変わらず順調。調子の比較では藤井竜王が上回るが、先手番の第4局で星を落とすようだと七番勝負の流れが変わる可能性は大いにあるだろう。
戦型は相居飛車力戦が本命
直接対決は過去22戦して藤井竜王が18勝4敗と圧倒的にリードしており、総合的には藤井竜王優位に変わりない。
戦型はここまでの3局いずれも渡辺名人が序盤で工夫を凝らしているのが目立つ。よって第4局も相居飛車の力戦型で雁木や矢倉に進んでも過去の定跡にない戦いになると予想する。