渡辺明名人3連覇か、斎藤慎太郎八段初の名人奪取か――第80期名人戦七番勝負展望
渡辺明名人(37)=棋王に斎藤慎太郎八段(28)が挑戦する第80期名人戦(朝日新聞社、毎日新聞社主催)七番勝負は4月6日東京で開幕する。斎藤八段は昨年に続いての挑戦。歴史と伝統を誇る名人戦の勝敗と展開を、データを基に予想してみた。
<第80期名人戦七番勝負日程>
第1局 4月6、7日 東京都文京区「ホテル椿山荘東京」
第2局 4月19、20日 石川県金沢市「金沢犀川温泉 川端の湯宿 滝亭」
第3局 5月7、8日 福岡県福岡市「アゴーラ福岡山の上ホテル&スパ」
第4局 5月19、20日 山口県山口市「名勝 山水園」
第5局 5月28、29日 岡山県倉敷市「倉敷市芸文館」
第6局 6月7、8日 山梨県甲府市「常磐ホテル」
第7局 6月24、25日 山形県天童市「天童ホテル」
調子の比較では渡辺名人わずかに優位か
<渡辺名人の最近10局>
1月22、23日 ALSOK杯王将戦七番勝負第2局
対藤井聡太竜王 ●
1月29、30日 ALSOK杯王将戦七番勝負第3局
対藤井竜王 ●
2月2日 竜王戦1組
対八代弥七段 ●
2月6日 棋王戦五番勝負第1局
対永瀬拓矢王座 ○
2月11、12日 ALSOK杯王将戦七番勝負第4局
対藤井竜王 ●
2月19日 棋王戦五番勝負第2局
対永瀬王座 ○
2月25日 ヒューリック杯棋聖戦本戦
対島朗九段 ○
3月6日 棋王戦五番勝負第3局
対永瀬王座 ●
3月20日 棋王戦五番勝負第4局
対永瀬王座 ○
3月24日 ヒューリック杯棋聖戦本戦
対三浦弘行九段 ○
<斎藤八段の最近10局>(相手の肩書は対局当時)
11月29日 朝日杯将棋オープン戦2次予選
対糸谷哲郎八段 ●
12月15日 順位戦A級
対佐藤天彦九段 ○
12月28日 竜王戦2組
対深浦康市九段 ●
1月7日 順位戦A級
対羽生善治九段 ○
1月28日 王座戦2次予選
対井上慶太九段 ○
2月4日 順位戦A級
対豊島将之九段 ○
2月10日 叡王戦本戦
対藤井猛九段 ○
3月3日 順位戦A級
対糸谷八段 ●
3月12日 叡王戦本戦
対出口若武五段 ●
3月29日 王座戦2次予選
対出口五段 ●
渡辺名人、斎藤八段ともに最近10局は5勝5敗と五分の成績。どちらも好調という感じではないが、渡辺名人は防衛戦の王将戦七番勝負で藤井竜王に4連敗と苦杯を喫したものの、永瀬王座の挑戦を受けた棋王戦五番勝負では3勝1敗で二冠を堅守し、復調気配といっていいだろう。
一方の斎藤八段は順位戦A級で最終局を待たず8連勝で挑戦を決めたあと、直近3連敗を喫し流れが良くないように思われる。調子の比較では渡辺名人やや有利と見ていいだろう。
戦型は相掛かりが中心か
直接対決は過去10戦して渡辺名人8勝4敗と渡辺名人がリードしている。同じカードで争われた前期の名人戦七番勝負も渡辺名人が4勝1敗で防衛。斎藤八段にとっては厳しいデータだが、猛者ぞろいの順位戦A級を2期連続8勝1敗で勝ち上がった安定感は長丁場の七番勝負で示されるだろう。
戦型は両者居飛車党なので相掛かりを軸とした相居飛車のシリーズになると予想される。ただし戦型の選択権は主として先手番にあり、最近の採用率から斎藤八段先手の場合は相掛かりか角換わりが本線。ただし渡辺名人が後手で雁木模様に変化する可能性もある。渡辺名人先手の場合は矢倉か相掛かりに進む可能性が高いだろう。
総合的には渡辺名人優位だが、斎藤八段がシリーズ前半で先行すれば、二年越しの悲願達成なるかもしれない。